2007 Fiscal Year Annual Research Report
場面の文脈情報に基づいた視覚的注意の制御メカニズムおよびその脳内機序の解明
Project/Area Number |
05J00050
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 洋和 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(SPD)
|
Keywords | 視覚的文脈処理 / 視覚的注意 / 潜在学習 |
Research Abstract |
この研究課題では,物理的文脈情報による注意制御がフィードバックループを必要としないメカニズムによるものであるとの観点から,最終的にはその脳内機序を解明することを目的とする。この研究課題では「文脈処理の時間的特性の解明」「文脈情報の符号化過程の解明」「文脈処理の脳内機構の解明」の3つのテーマを設定し,段階的に研究を進めている。 今年度は,「文脈情報の符号化過程の解明」および「文脈処理の脳内機構の解明」に取り組んだ。前者のテーマに関しては,新しい実験パラダイムを開発することによって,空間的には荒いが早い時間特性を持つメカニズムと,空間的に精密な誘導を行うが時間特性が遅いメカニズムが存在し,この2つのメカニズムが協調することによって,潜在的文脈情報による視覚的注意の誘導が実現されていることを明らかにすることができた。 テーマ「文脈処理の脳内機構の解明」については,当初fMRI装置を用いた実験を計画していた。しかし,研究計画が進むにつれて,対象とする処理メカニズムが非常に早い時間特性を持っていることが明らかになり,fMRIで計測できる脳内の血流量の変化を測定することによって,当該メカニズムを検討することは適当でない可能性が浮上してきた。そこで,より高い精度で脳内の電気活動を測定することのできる脳磁計を使用して,、文脈処理の脳内機構について検討を進めた。その結果,文脈処理が非常に早い時間特性を持っていることを示した前年度までの行動実験の結果を支持する脳活動が観察された。具体的には,刺激提示後100ms後に,前頭部において文脈処理に特有と見られる有意な脳活動の促進が認められた脳内部位間の時間的共振などの時系列解析を行い,より詳細な活動プロファイルを明らかにするために,現在鋭意処理を進めているところである。
|
Research Products
(8 results)