2007 Fiscal Year Annual Research Report
視覚情報選択における行為システムの役割と視覚システムとの相互作用
Project/Area Number |
05J00053
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
澤 優子 (日比 優子) National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚システム / 行為システム / 視覚情報選択 / 高齢者 / 脳損傷患者 |
Research Abstract |
これまでの代表者の研究から、注意による情報の選択機能の詳細と、視覚システムと行為システムとの関与が明らかになった。本年度は、これまで蓄積した知見と認知心理学的実験手法を用いて新たな基礎研究を進める一方、これらの基礎的な研究成果を実用場面へと応用していくことを試みた。産業技術総合研究所および英国ウェールズ大学で、高齢者や脳損傷患者など被験者のポピュレーションを広げる研究に着手した(Hibi & Kumada, in preparation)。産業技術総合研究所では、視覚的に提示されているが現行する課題の遂行に全く関連しない視覚属性が、課題遂行影響するサイモン効果に注目し、若齢者と高齢者の比較研究および脳損傷患者の症例研究を行い、その成果を査読付き国際誌に投稿するために準備中である。また、英国ウェールズ大学において、著名な神経心理学者であるRobert Rafal先生と共に、一度向けられた位置から注意を解放することが難しい為に生じる復帰抑制という効果に注目し、若齢者を用いた基礎研究と脳損傷患者を用いた応用研究を行った。この効果は、とされ、効果の生起には視覚情報処理過程の中でも比較的低次な視覚システムが主に関わっていると考えられてきた。この現象が、被験者の課題に対する構えという比較的高次なレベルでありかつ行為システムも関わる処理過程を反映している可能性を示唆する結果を示した(Hibi,Koningsbruggen,& Rafal,in preparation)。さらに、脳梗塞などにより、情報の選択機能を担う頭頂葉の脳損傷患者を対象として、半側空間無視という損傷部位と対側視野にある事物に注意を向けることが難しくなる障害について実験的に検討を行った。これまでの3年間の研究成果に基づいて、これからは高齢者や脳損傷患者、注意欠陥多動性障害児や自閉児などさまざまポピュレーションを対象として、注意による情報の選択機能に関してリハビリテーションを目標とした応用研究を行うことが可能になった。
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Research Products
(3 results)