2005 Fiscal Year Annual Research Report
チタニアとセリア上の極薄金属膜及び金属超微粒子の物性と表面気相反応過程の研究
Project/Area Number |
05J00070
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Research Fellow |
岡沢 哲晃 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中エネルギーイオン散乱 / 光電子分光 / 金触媒 |
Research Abstract |
本研究では、中エネルギーイオン散乱と光電子分光を用いてNiO(001)およびTiO2(110)表面における金ナノクラスターの成長過程と電子状態を解析した。中エネルギーイオン散乱は薄膜の膜厚や深さプロファイル、界面の歪みなどを精度よく決めることができる手法である。本研究ではイオンが標的中を通るパスの長さを厳密に計算することで、標的がクラスターの場合スペクトルの形状が異なることを見出した。そして実験で得られたスペクトルを解析することで、クラスターの形状やサイズを決定する方法を確立した。その結果、NiO(001)上の金ナノクラスターは蒸着量が1ML以下では、Au(111)の2次元クラスターが優勢的に成長することがわかった。反射型高速電子線回折を用いて、Au(111)結晶はAu[110]//NiO[110]とAu[11-2]//Nio[110]の2つの方位を持つダブルドメイン構造であることがわかった。また1ML以上では[111]軸配向した3次元クラスターが成長することがわかった。それに対してTiO2(110)上では0.2ML以上で3次元クラスター成長が始まり、多結晶的であることがわかった。イオン散乱を用いてクラスターサイズを決定する手法はイオン散乱の新たな可能性を示すものであり、今後の発展に期待できる。 また本研究では光電子分光を用いてAuクラスターの電子状態を解析した。価電子帯、Au4fのスペクトルを測定し、同時に仕事関数の測定も行った。価電子帯のスペクトルより、Au蒸着量が0.9ML以下では非金属的であることがわかった。Au/NiO(001)に対し、Au4fスペクトルは蒸着量を変えてもBinding Energyは変化しなかったが、Au/TiO2(110)の場合、蒸着量が0.5ML以下で高エネルギー側に0.2-0.3eVシフトし、また蒸着量0.25-1.5MLで仕事関数が急激に減少した。これらの結果から、AuとNiO間では電子の移動がほとんどないのに対し、TiO2上ではAuからTiO2側に電子が移動したと考えられる。触媒のメカニズムを解明する上で電荷移動を決定することは重要である。今後、セリア上のAuに対して同様の実験を行うことで、触媒メカニズムの解明につなげたい。
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Research Products
(1 results)