2006 Fiscal Year Annual Research Report
チタニアとセリア上の極薄金属膜及び金属超微粒子の物性と表面気相反応過程の研究
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05J00070
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Research Fellow |
岡沢 哲晃 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中エネルギーイオン散乱 / 光電子分光 / 金触媒 |
Research Abstract |
本研究では、ストイキオメトリーなTiO2(110)表面(S-TiO2)と酸素欠陥のあるTiO2(110)表面(R-TiO2)上にAuを蒸着し、それらの成長過程と電子状態を、イオン散乱と光電子分光を用いて解析した。成長過程に関しては、S-TiO2の場合、Au蒸着初期では2D島が優勢的に成長し、その後3D島が成長した。そのとき臨界サイズは約3nmであった。一方、R-TiO2の場合、蒸着初期から3D島が成長し始めた。このような蒸着初期の成長過程の違いは、Au原子の吸.着サイトが異なるためだと考えられる。R-TiO2の場合、O欠陥が活性サイトとなってAu原子が吸着し、3D島が成長すると考えられる。 R-TiO2の価電子帯のスペクトルでは、フェルミ準位近傍にTi3dの成分があらわれた。そしてO2pとTi3pのBinding energyはS-TiO2と比べて高エネルギー側にシフトし、仕事関数は減少した。これは、表面に酸素欠陥ができたことによってBandが高エネルギー側に曲がったためと考えられる。 次にこれらの表面にAuを蒸着し、電子状態の変化を解析した。R-TiO2の価電子帯のスペクトルにはAu6s成分があらわれ、蒸着量の増加に伴いAu6s成分は増加し、Ti3d成分は減少した。またTi3pはR-TiO2の場合、Au蒸着に伴い低エネルギー側に、S-TiO2の場合は高エネルギー側にシフトし、蒸着量0.7ML以上ではどちらも同じBinding energyとなった。そしてAu4fはどちらの表面でも、蒸着量が少ないとき高エネルギー側にシフトした。これらの結果から、Au/S-TiO2ではAuからTiO2に電子が移動し、S-TiO2はR-TiO2と同じ方向にBand Bendingしたと考えられる。またR-TiO2では、AuからTiO2の欠陥準位に電子が移動することで欠陥準位が中性化され、Ti3dの成分が減少し、Band Bendingが緩和されたと考えられる。また仕事関数の測定結果についても、このモデルを支持する結果を得た。 今後、重水素とHe3の核反応を利用し、表面に付着した水素の分析を行い、触媒反応メカニズムの解明に向けた研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)