2007 Fiscal Year Annual Research Report
マグマのガス浸透性の実験的研究に基づく噴火発性の制御過程の解明
Project/Area Number |
05J00080
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹内 普吾 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 火山噴火 / 高温高圧実験 / マグマの脱ガス過程 / 透気試験 / 減圧発泡過程 / 空隙構造 |
Research Abstract |
最終年度である本年度は、これまでの研究成果の論文投稿に重きを置いた。マグマの浸透性の実験的研究の方法論なブレークスルーである透気試験装置の概要、実験試料の浸透率測定方法、その火山学的応用に関する研究をまとめ、Journal of Volcanology and Geothermal Researchへと投稿し、平成20年3月末現在、査読中である。 前年度までに得られた減圧発泡過程におけるマグマの浸透性変化に関する研究をより精密にするために減圧発泡実験と透気試験を追加的に行った。前年度までの実験では、低圧まで減圧した時に起こるカプセルの破裂が試料の浸透率に及ぼす影響を評価することが懸案となっていた。破裂を伴わない試料を回収することは困難を極めたが、再実験によっていくつかの試料が得られ、透気試験を行うことにより、破裂が浸透率に与える影響は大きくはないことが確かめられた。 本研究テーマの中で開発された真空含浸法による連結空隙率測定(Yokoyama and Takeuchi, in prep.)を実験試料に適用することにより重要な新しい知見が得られた。減圧発泡過程ではマグマの発泡度(全空隙率)が80%以下の範囲では気泡同士の連結が悪く、10%前後の低い連結空隙率(試料の外に開いている空隙の体積分率)であるのに対し、発泡度が80%を超えると全空隙率と連続空隙率が近い値となり、大半の気泡が合体し、外に開いた状態であることが分かった。そして、発泡度80%前後での気泡の全合体とガス浸透性の発現が対応していることも判明した。この実験結果は、マグマ上昇中にマグマの中で起こる気泡の合体過程と浸透率の獲得に関する理解を深めるための重要な発見である。以上の研究は、早急に論文として出版を目指す。 その他、噴出物解析からマグマの爆発と脱ガスの過程を推定した論文を出版した。(Yamanoi et al., in press.)
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Research Products
(2 results)