2006 Fiscal Year Annual Research Report
液相中レーザーアブレーション法による超高密度磁気記録媒体用磁性ナノ微粒子の作製
Project/Area Number |
05J00099
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 善恵 独立行政法人産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 液相レーザーアブレーション |
Research Abstract |
1.鉄-白金合金の液相中でのレーザーアブレーション 磁性材料である鉄-白金合金をターゲットとして実際に用い、液相中でレーザーアブレーションを行った。液相として純水とヘキサンをそれぞれ用い、比較を行った。用いた鉄-白金合金の組成比は50:50(Fe50Pt50)であったが、純水中で得られた合金微粒子の化学組成はFe26Pt74であり、ターゲットの組成より鉄が少ないことが明らかとなった。これに対しヘキサン中で得られる合金粒子の組成はFe23Pt77とFe38Pt62の2成分であり、鉄が少ない組成ではあるが、純水の場合と比較してターゲット組成に近い成分の合金が得られることが明らかとなった。純水やヘキサンのどちら場合においても起こる生成物のターゲット組成からのずれは、アブレーションによって生じる鉄や白金原子のうち鉄が選択的に酸化されるためであると考えられる。純水の場合はヘキサンの場合と比較して、液相分子の分解によって生じる活性種のうち、鉄の酸化が可能な活性種が多いと考えられる。よってヘキサンの場合と比較して、多くのアブレーションによって生じた鉄が酸化されたために、合金組成の鉄の割合が低くなったと考えられる。これらの結果より、鉄の様に非常に酸化されやすい材料をアブレーションする場合は液相環境のコントロールが非常に重要であることが明らかとなった。それぞれの液相中で得られた粒子をアルゴン中で熱処理を行った後に磁性を評価したところ、純水中で得られた合金粒子は保磁力を示さなかったのに対し、ヘキサン中で得られた粒子は保磁力を示した。これは純水中で得られた合金粒子の鉄成分が非常に少なかったためと考えられる。 2.ホウ素等の酸化されやすい物質の液相レーザーアブレーション 磁性材料の作製の上では、鉄などの非常に酸化されやすい材料の制御が非常に重要である。そこで酸化されやすい材料の一つであるホウ素を用いて液相レーザーアブレーションによるナノ粒子の作製を試み、メカニズムやコントロール手法の探索を行った。ホウ素粒子を有機溶媒中に分散させ、レーザーを照射することによって炭化ホウ素の粒子を合成することに成功した。ホウ素やホウ素含有粒子は脳腫瘍などの中性子捕捉療法への応用が期待される材料である。またこの様な材料は磁性材料と複合化することにより、より機能的な医療材料への展開も予想されることから、本年度以降も引き続き研究を行う予定である。
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Research Products
(5 results)