2005 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞観測システムを用いた細胞への化学物質ダイナミクス解析法の開発
Project/Area Number |
05J00115
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
關根 朝美 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞ハンドリング / キャピラリー電気泳動 / MALDI-MS / インターフェース / 微生物分離同定 / バイオマーカー |
Research Abstract |
細胞のハンドリング技術の一つとして,生きたままの微生物細胞を迅速に分離できるキャピラリー電気泳動(CE)に着目した研究を行った。分離した微生物試料の検出に微生物同定法として着目されているマトリックス支援レーザー脱離イオン化-質量分析法(MALDI-MS)を適用し,微生物の迅速分離同定技術としても有用なシステムの構築を目指した。このようなCE/MALDI-MS測定システムではCEで達成された高い分離度を損なうことなく分離試料をマトリックス試薬と混合し,MALDIプレートに転写する技術が要求される。そこで,CE分離出口部分で分離試料とマトリックス剤を混合し,X-Yステージを用いてMALDIプレート上に連続した試料塗布を行う新しいCE/MALDIインターフェースを構築した。また,XY方向にプレートを移動させて各位置におけるマススペクトルを取得する手法であるイメージングMSによる測定を行い,プレートに塗布した試料の分布や分離度を用いてインターフェースを評価した。標準タンパク質を用いてCE分離液とマトリックス溶液の混合比(流速比),プレート移動速度,マトリックス送液用キャピラリー径について検討を行い,CEの分離度を保持した状態でプレートへの試料塗布を可能とし,これらの成果は現在論文にまとめている。微生物細胞を試料とした場合については,CEで分離した後にインターフェース部でマトリックス液と混合しながら細胞からバイオマーカー成分を抽出および検出するシステムとして既に特許を出願している。大腸菌を用いた検討の結果,構築したCE/MALDI-MSシステムを用いて大腸菌に固有の分子量をもつリボソームタンパク質を検出することができた。本システムによってCEで分離した試料をその分離度を損なわずにプレートに転写することが可能となり,さらに大腸菌の迅速分離同定の可能性を示すことができた。
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