2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜通過活性ペプチドを付与した非ウイルスベクターの開発とその応用
Project/Area Number |
05J00147
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡部 暁子 (江口 暁子) 独立行政法人産業技術総合研究所, ジーンファンクション研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞膜通過ペプチド / ベクター / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
近年、遺伝子治療の臨床試験に使用されてきたウイルスベクターは、ガンを引き起こす確率が高く安全性に問題があることが明らかになり、非ウイルスベクターの開発が急務となっている。非ウイルスベクターとして、リポソームやDNA・siRNAと脂質を組合せたpolyplexなどのナノ粒子が材料とされ開発が進められているが、効率よい遺伝子導入は実現できていない。特に「特異的に遺伝子抑制ができるsiRNA」はガン治療への応用が可能であることから多くの研究がなされているが、細胞毒性が低くin vivoにも適応可能な系は確立されていない。この主要な原因としてナノ粒子の細胞膜通過活性が低いことがあげられる。そこで申請者は、ナノ粒子であるファージの表面に細胞膜通過活性ペプチドを付与し、ナノ粒子の細胞内への導入を検討した。その結果、細胞膜通過活性ペプチドはナノ粒子をも細胞内に導入できる活性をもつことを明らかにできたことから、この細胞膜通過活性ペプチドをsiRNAの導入へと応用する系を構築した。細胞膜通過活性ペプチドとsiRNAを組み合わせたナノ粒子(siRNA-PTD)を作成し、培養細胞内でのマーカー遺伝子の発現を指標にsiRNAの導入を検討した。その結果、導入後数十分で細胞への結合・1時間以内には細胞内へのsiRNAの導入がみられ、導入後24時間後からマーカー遺伝子の抑制が見られた。マーカー遺伝子の配列とは異なるsiRNAを使用した場合には遺伝子抑制は見られないことから、特異的な遺伝子抑制であると言える。また、高濃度のナノ粒子を使用した場合、市販のsiRNA導入試薬とほぼ同等の遺伝子抑制効果が見られ、この遺伝子抑制効果は1週間持続することも明らかにした。さらに、市販の導入試薬と異なり細胞毒性が見られないことから、in vivoへの応用を目指し実験をすすめている。現在この成果は特許出願中である。
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Research Products
(1 results)