2005 Fiscal Year Annual Research Report
カワヤツメ松果体における紫外光受容システムを中心とした波長識別機構の生理的役割
Project/Area Number |
05J00204
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
川野 絵美 奈良女子大学, 人間文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 松果体 / 光受容 / 紫外光受容 / 波長識別 / 感色性応答 |
Research Abstract |
変温動物の松果体には、可視光によりインパルスを増大し、紫外光により抑制する感色性神経節細胞が存在する。感色性応答はその特性から波長識別を行っていると考えられる。本研究では、感色性応答の研究が最も進んでいるカワヤツメ松果体に着目し、眼外光受容器官の波長識別機構の解明を目的としている。これまでにカワヤツメ松果体より、紫外光受容蛋白質としてパラピノプシンを同定しているので、紫外光受容細胞から神経節細胞への神経投射について検証した。 まず、紫外光受容細胞の形態的特徴を明らかにするために、パラピノプシン陽性細胞の組織学的解析を行なった。パラピノプシン陽性細胞は、松果体の天井部に多く局在していた。また、免疫反応が細胞全体に見られることから、陽性細胞の基底突起についても調べた。その結果、光受容細胞同士が広範囲に渡る神経ネットワークを形成していた。しかしながら、微細構造の観察から紫外光受容細胞も可視光受容細胞と同様に神経節細胞とリボンシナプスを形成していることが示唆された。さらに外節の構造も両者は酷似していた。 次に、紫外光受容細胞から神経節細胞への投射について検証した。パラピノプシン陽性細胞は松果体天井部に多く局在するのに対し、神経節細胞は腹側に多く、天井部では数個ほどの細胞しか局在しない。そこで、パラピノプシンと神経節細胞の二重標識を行ったところ、紫外光受容細胞の神経突起は神経節細胞層に到達し、天井部や周縁部に局在する神経節細胞の神経突起と多くの部分で直接接触していた。そこで、紫外光受容細胞からの光情報は、直接的に神経節細胞へと伝達される事が示唆された。 これらの結果から、パラピノプシン陽性細胞同士が神経ネットワークを形成する事で、位置的に神経投射が困難と思われる神経節細胞への連絡を可能にしていると考えられた。
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