2006 Fiscal Year Annual Research Report
学校文化とセクシュアリティ-性愛を巡る「隠れたカリキュラム」の日英比較-
Project/Area Number |
05J00207
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
小宮 明彦 女子栄養大学, 栄養学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 学校文化 / セクシュアリティ / 隠れたカリキュラム / 性的マイノリティ / 異性愛主義 / ゲイ / 性 / ジェンダー |
Research Abstract |
2006年度は、前半は日本において日英の性的少数者に関する日英の文献にあたり、後半は渡英して現地の当該若年者のミーティングに参加して生の情報収集に努めた。 1)日英の教育(学)領域において性的少数者である若者たちへの支援がどのように模索されてきているかを各種文献・史料をひも解いて整理した。その結果、英国では1970年代より局地的とはいえ、組織的な支援活動が行われてきていることが明らかとなった。日本では1980年代より先進的な教師たちによって性的少数者に共感的な実践が果敢に模索され始めたが、80年代はごく少数の教師にとどまっていた。1990年代に同性愛者や性同一性障害者の社会一般での可視化に伴い、性的少数者である教育関係者から成る自助グループも創設され、出版物による社会への情報提供や、性的少数者の教育実習生への支援などが行われていることがわかった。 2)ロンドン大学の性的少数者のミーティングに定期的に参加し、現地の当該青年の動態の把握に努めた。セクシュアリティ関連の講演会や示威行進などを企画する立命館大学や国際基督教大学の学生の方々など最近では日本でも政治的な動きが目立ってきてはいるが、従来より仲間内での親睦・交流を主たる活動とする日本の当該青年と比較して、英国の青年たちは、同性愛者の養子制度などに関する討論会開催に関わるなど、政治的な動きへの参画が特筆される。 尚、来年度は、引き続き英国に滞在して性的少数者のミーティングに出席し、面接調査を行って英国の初等・中等教育において現場ではどのような規範・権力が作用していたかを明らかにする予定である。
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