2005 Fiscal Year Annual Research Report
学校文化とセクシュアリティ-性愛を巡る「隠れたカリキュラム」の日英比較-
Project/Area Number |
05J00207
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
小宮 明彦 女子栄養大学, 栄養学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジェンダー / セクシュアリティ / ヘテロセクシズム / 学校文化 / 隠れたカリキュラム / 性的マイノリティ / レズビアン / ゲイ |
Research Abstract |
本研究は、日本と英国の学校文化において、セクシュアリティをめぐる規範がどのように(再)生産されているかを、参与観察や教科書のテクスト分析などの手法を用いて明らかにすることを目的としている。‘love'や‘sexuality'という言葉に象徴される英国の親密性をめぐる様態と「色恋」や「恋慕」という言葉に象徴される日本のそれとの比較研究を試みつつ、西洋のセクシュアリティ概念を取り入れつつある日本に示唆を得ることとする。そのため今年度は以下の作業を行った。 1)英国の学校における性文化を的確に捉える基礎作業として、英国の学校における性教育をめぐる動向を概観した。近年英国では、十代女性の出産率の高さが社会的問題になっており、それを受けて学校における性教育の実態調査がなされた。英国の学校では、生物学的知識は一定程度伝達されているものの、性的関係を包含した人間関係作りに関する授業は提供できておらず、国の調査によってもその点に関する生徒たちの不満が指摘されている。(→『新版 人間と性の教育(1)』大月書店所収、第5章「世界各国の性教育の取り組み」の第2節「イギリス」) 2)1980年代後半からの保守党政権による「伝統的家族至上主義」の象徴と目されている、2003年に廃止された、地方教育法第28条(公立学校において同性愛を"助長"することを禁止する法律)の撤廃を、内外の専門書並びに主要新聞の記事により跡付け、整理した。 3)渡英し、来年度の本調査のための予備調査を行った。 4)筆者が来年度以降採用する、民族誌的調査や教科書分析という質的調査法に習熟するため、当該領域の文献に学び、整理した。
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Research Products
(1 results)