2005 Fiscal Year Annual Research Report
統合的アプローチによる東南アジアの民主化比較研究:国家-市民社会分析を中心として
Project/Area Number |
05J00209
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
五十嵐 誠一 富山大学, 人間発達科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 市民社会 / 民主化 / 体制変動 / 比較政治 / 多国籍 |
Research Abstract |
今年度はフィリピンを東南アジアの民主化比較の出発点と位置づけ、マルコス体制崩壊過程の市民社会の実態について2回にわたる現地調査を踏まえて検証を行った。この調査に基づき2005年10月には慶應義塾大学COEプロジェクト(市民意識比較分析カンファレンス)で、比較政治の分析枠組みを用いながらマルコス体制崩壊過程の市民社会に関する報告を行った。その内容をさらに深めて11月のアジア政経学会の全国大会(島根県立大学)では、「マルコス体制崩壊過程における市民社会:その二面性の実態と民主化との因果律の解明」というタイトルで報告した。同報告では、政治社会に力点をおいた従来の研究に対して市民社会の役割と実態をヘゲモニー闘争という分析視角から再検証した。同報告をもとに2006年2月には「マルコス体制崩壊過程における市民社会の実相:民主化をめぐるヘゲモニー闘争のダイナミズムに着目して」として、アジア政経学会の学会誌である『アジア研究』に投稿した。同論文は現在査読中である。 また、東南アジアとの比較事例として、民主化過程で市民社会の活躍が顕著に見られた韓国と市民社会の蜂起が失敗に終わった中国を含めた東北アジアの市民社会についても若干の考察を行い、論文「東北アジアの環境ガバナンスと市民社会」を環日本海学会の学会誌『環日本海研究』第11号に公表した。同テーマに関しては、2006年9月出版予定の『環日本海事典(仮称)』(国際書院)の中項目においても1500字程度で執筆した。 分析枠組みに関しては、統合的アプローチによる東南アジアの比較分析のために、今年度は計量分析の中で有意とされる変数の整理を行った。同時にこれまで民主化研究を牽引してきた2つのアプローチ、すなわち「構造主義アプローチ」と「アクター中心主義アプローチ」との関係を意識して市民社会アプローチの位置づけを検討し、比較のための分析枠組みの土台作りに取り組んだ。
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Research Products
(1 results)