2007 Fiscal Year Annual Research Report
スイスの直接民主制を理論研究、投票・立法・判例実務、関連制度の観点から研究する
Project/Area Number |
05J00258
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥田 喜道 Waseda University, 法学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 直接民主制 / 国民投票 / 憲法全面改革 / 連邦制 / 環境団体訴訟 / 地域交通政策 / 税制改革 |
Research Abstract |
2007年4月から2008年3月までの1年間においては、研究課題名に関連する研究の論文を1報、現地調査2回を中心に研究を行ってきた。 『ドイツの憲法判例III』(信山社近刊)に掲載予定の論文は、『自治研究』に掲載された大学大綱法第5次改正法違憲判決に関する判例評釈をもとにしたものであり、前年度に出版される予定であったもので、連邦制に関連する研究の一環であるが、ドイツ連邦共和国基本法の改正によって連邦が有していた大綱的立法権限が廃止され、当初掲載予定であった内容に大幅な修正を加える必要が出てきたため、全面的に書き改めたものである。 現地調査においては研究課題名の通りの研究のための資料収集をすすめるとともに、2007年から現地で急激に関心をあつめ始めた問題である環境団体訴訟と直接民主制の関係、地域交通政策(新型路面電車の設置など)と直接民主制の関係、税制改革(企業に有利な法人税制の導入など)と連邦制(カントンごとの税の割引競争)と直接民主制の関係、連邦参事会と直接民主制の関係についても資料収集と調査を行った。このうち環境団体訴訟については3月の現地調査中に連邦議会で関係する法改正の審議が行われており、関係する情報も盛んに報道され、環境団体や政党もさまざまな宣伝広報活動を行っていて有益な資料を多く入手することができた。また二回目の仕切りなおしの投票によって承認され、実施されることになったベルンの新型路面電車路線延長事業は、切迫する住宅供給の改善や交通渋滞の緩和、地域の自然環境の保全を目的に多額の市・カントン・連邦の費用を用いて実施するものであるだけに、大きな議論を巻き起こしたものであるが、カントン公文書館などで入手できる資料からその様子がよくわかり個別の投票事例研究として有益であった。また直前の2月の投票で争われた法人税改革の問題や環境問題(戦闘機騒音防止)や連邦参事会でのスイス国民党の離脱問題もなお強い関心を持たれていることがわかった。
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Research Products
(2 results)