2005 Fiscal Year Annual Research Report
マムルーク朝前期の政治文化と都市社会:未刊行写本・文書史料の分析を通じて
Project/Area Number |
05J00295
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中町 信孝 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | アラビア語文献学 / マムルーク朝歴史叙述 / マムルーク朝支配エリート / ウラマー / ワクフ文書 |
Research Abstract |
年代記史料については、フランス国立図書館、エジプト国立図書館およびアラブ連盟写本研究所において、歴史家アイニーの未刊行写本を閲読し、一部を複写した。これらの新収史料と、別途入手したトルコの諸図書館および大英図書館収蔵写本のコピーを用い、アイニーに帰せられる一群の歴史著作の全体像を明らかにする作業を行った。その成果の一部は雑誌Orientで英語論文「バフリー・マムルーク朝史料としてのアイニーの諸年代記」として発表し、学会で広く共有しうる基本的データを提供した。また特に、写本に関する今年度新たに得られた知見については、史学会第103回大会(東京大学本郷)での学会発表「アイニーに帰せられた4年代記の成立年代と執筆意図」、および中東・イスラーム研究セミナー(東京外大AA研)での口頭発表「宮廷史家アイニー:マムルーク朝ウラマーの歴史叙述にみる社会的実践」において公開した。 文書史料の分析については、「ワクフ文書研究会」を隔週で共同開催し、校訂本を利用してワクフ文書の基礎情報の収集蓄積に努めた。 マムルーク朝前期の政治文化に関する考察は、既発表論文での成果に新収史料から得られた知見を大幅に盛り込み改訂したものを、雑誌Mamluk Studies Reviewにて英語論文「マムルーク朝軍隊における亡命軍事集団の役職と地位:ワーフィディーヤ再考」(印刷中)として発表した。 知識人(ウラマー)層の研究に関しては、先述の口頭発表「宮廷史家アイニー」で史書執筆を知識人の社会的実践ととらえる新たな分析視点を提示した。
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Research Products
(2 results)