2006 Fiscal Year Annual Research Report
位置有感型TEPCの開発とそれによる宇宙放射線の線量当量計測法の研究
Project/Area Number |
05J00334
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永吉 勉 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | PS-TEPC / HIMAC / 重イオン / μ-PIC / エネルギー付与 |
Research Abstract |
いまだ決定的な測定手段が確立していない宇宙放射線の線量測定法を確立するために、新しいタイプのマイクロパターンガス検出器Micro Pixel Chamber(μ-PIC)を用いた位置有感型生体組織等価比例計数管(PS-TEPC)の研究・開発を続けている。 本年度は、PS-TEPCのために最適化した小面積μ-PICを開発し、その特性試験および重イオン加速器HIMACを用いた照射試験を行った。初期の小面積μ-PICではドリフト電場が一様でないため、取得されるイメージがゆがむなどの問題があったが、電場シミュレーションなどの解析結果を踏まえてドリフトケージを改良し、ゆがみのないイメージを取得することに成功した。 また、6月、8月、1月、2月にHIMACでの動作試験を計4回行い、ヘリウムイオン、炭素イオン、ケイ素イオン、鉄イオンのビームを照射してその動作特性を調べた。その結果、それぞれの実験においてイオンの飛跡とエネルギー付与が求められ、線量計に求められるLinear Energy Transfer(LET)をイベント毎に取得することに成功した。特にエネルギー付与が小さいヘリウムイオンと逆にエネルギー付与が大きい鉄イオンの両者の試験に成功したことは大きな成果である。同様の照射試験を放射線検出器によく使われるアルゴン・エタン混合ガスのほかにプロパンを主成分とする生体組織等価ガスでも行い、やはり各イオンについてLETをイベントごとに求められた。 これらの結果を2006年秋の応用物理学会で発表したほか、前年度の実験データを解析してKEK Proceedinsgに発表している。また、欧文誌のNuclear Instruments and Methods Aにも投稿している。 これと並行して、更に効率よく低ノイズでデータを取得するために前年度に開発したフロントエンドデータ収集システムを更に改良している。現在、そのメインとなる基板が完成し、動作試験を行っている。
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