2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホール輸送性ラジカル高分子の合成と有機電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
05J00432
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
倉田 崇 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機安定ラジカル / 強磁性的相互作用 / 酸化還元挙動 / 有機電子デバイス / ホッピング伝導 / ホール輸送材料 / ESR / SQUID磁化測定 |
Research Abstract |
ホール輸送性ラジカル高分子のモデル化合物として、2-[N-(4-メトキシフェニル)-N-{4-(N-t-ブチル-オキシアミノ)フェニル}アミノ]フェニル-4,4,5,5-テトラメチル-イミダゾリン-3-オキシド-1-イル(1)および1,3,5-トリス[N-(4-メトキシフェニル)-N-{4-(N'-t-ブチル-N'-オキシアミノ)フェニル}アミノ]ベンゼン(2)をそれぞれ新規に合成した。保護基の探索を含めた合成経路を検討し、それぞれ6、4ステップでの効率的な合成経路を見いだした。 ダイラジカル1およびトリラジカル2の電子状態を、サイクリックボルタンメトリー、電解ESR、低温ESRおよび超量子干渉型磁束計を用いた磁化測定から明らかにした。酸化還元電位はそれぞれ-0.14、-0.27(V vs Fc/Fc^+)であり、可逆な還元過程を示した。また、ESR測定よりこれらの酸化過程が不対電子スピンの酸化に由来することを明らかにした。低温ESRおよび磁化測定より、1の不対電子は、分子内で強磁性的に相互作用しており、基底状態が三重項にあることを明らかにした。2の磁化測定においても、4.2 Kでのスピン量子数Sは2/2であった。 1および2のポリカーボネート分散膜をITO(インジウム-スズ酸化物)透明電極上にスピンコート法により成膜し、Auを真空蒸着した単層素子では、それぞれ最大23、56 (mA/cm^2)の電流密度を示し、ニトロキシドラジカルがオリゴラジカルに拡張されてもホール輸送能が維持されていることを明らかにした。 現在、ダイラジカルの分散膜のホールドリフト移動度および磁場中での電流電圧特性の挙動を素子作製条件とあわせて検討している。また、ダイラジカルの電子/スピン状態について得られた知見を論文(英:Chemical Communication誌)への投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)