2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度垂直磁気記録デバイスへの応用を目的とした高垂直磁気異方性薄膜の創製
Project/Area Number |
05J00435
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐山 淳一 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気記録媒体 / 磁性薄膜 / 垂直磁気異方性 / スパッタリング / SmCo_5合金 |
Research Abstract |
情報ストレージ基幹技術であるハードディスクドライブ(磁気記録媒体)の更なる高記録密度化を追求する上で,高い垂直磁気異方性を示す磁性薄膜の開発が強く求められている.このような背景にあって,本研究代表者は,従来の磁気記録媒体材料に対して1桁以上高い垂直磁気異方性を示すSmCo_5合金薄膜の開発を世界に先駆けて成功させている.本年度は,このSmCo_5薄膜の垂直磁気異方性の発現機構の解明,ならびにその垂直磁気記録媒体への応用,について研究を推し進めた. SmCo_5薄膜における垂直磁気異方性の発現機構について,特に膜厚の大きいCu下地層(>100 nm)を付与することにより特異的に垂直磁気異方性の発現した要因について調べた.種々の試料の元素分布を解析したところ,Cu下地層膜厚が大きく,高い垂直磁気異方性を示す試料において,下地層に用いたCuがSm-Co層へ顕著に拡散していることがわかり,Cu原子がSm-Co層中に多く存在すること,特に,Sm-Co層の成長初期領域がCu組成に富むこと,が垂直磁気異方性の発現に重要な要素となることが示唆された. 続いて,SmCo_5薄膜の垂直磁気記録媒体への応用について検討した.垂直磁気記録媒体として用いる薄膜には,記録効率の観点から,その総膜厚(特に下地層膜厚)は極力小さくすることが望まれる.そこで,実際のHDD製造プロセスに類する超高真空環境を備えるスパッタリング装置を用いて,成膜条件と膜構成の最適化を再度行った.その結果,高い垂直磁気異方性を発現させる上で従来必要であった100 nm以上の大きいCu下地層膜厚を5-10 nm程度まで大幅に減少させることができた.この知見を基に作製したSmCo_5薄膜について,垂直磁気記録媒体あるいは熱アシスト磁気記録媒体としての記録再生特性の試験に着手した.
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Research Products
(2 results)