2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト新王国時代の「ディール・アル=マディーナ遺跡」の墓地編年に関する研究
Project/Area Number |
05J00460
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 寿光 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 古代エジプト / 新王国時代 / ディール・アル=マディーナ / 編年 / 土器 / 王家の谷 / 職人 / 製作技法 |
Research Abstract |
王家の谷の王墓造りに携わった職人達が居住し、埋葬された「ディール・アル=マディーナ遺跡」では、研究の基礎となる墓地編年にいくつかの問題点があることが指摘されている。また、20世紀前半に発掘され、これまで詳細な報告がされていない点も研究の停滞の一因となっている。本研究では、これらの問題点をふまえ、ディール・アル=マディーナ遺跡から出土した土器資料の資料化を行い、墓地編年を再構築することを目的とした。 今年度は11月16日から12月17日にかけてカイロ・エジプト博物館に所蔵されているディール・アル=マディーナ遺跡出土の土器資料を対象に資料調査を実施した。今年度の調査では、まず、収蔵状況を把握するため遺物登録台帳にて土器資料の確認を行った。そして、収蔵資料のうち、彩色に特徴があり、残存状況の良好な土器について実測、観察および写真撮影を行った。現物資料の観察によって、表面の調整、顔料の塗布の方法等、これまでに十分に報告されていない点が明らかとなった。また、ルーペによる胎土観察を行うことで、現在エジプトの土器研究で構築されている胎土分類システム(ウィーン・システム)に組み込むことが可能となった。今年度の資料調査によって、従来の簡易的な報告に加え、新たに土器の器形、胎土や製作技法等に関する詳細なデータを得ることが出来た。 資料調査をもとに、日本国内において、エジプトの他の遺跡から出土した土器資料との比較考察を行い、ディール・アル=マディーナ遺跡の墓地編年の基礎データを得る事が出来た。更に、彩色技法の観察から、土器の生産体制に関する新たな知見を得た。これらの成果に関しては、今年度、『エジプト学研究』第14号に投稿し、成果報告を行った。また、来年度は日本オリエント学会における研究発表を予定している。
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Research Products
(1 results)