2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代社会における塩の摂取と利用からみる食文化の基礎的考察
Project/Area Number |
05J00470
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
向林 八重 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 塩 / 食品名 / 古代食文化 / 日常生活 / 和名類聚抄 |
Research Abstract |
本研究では、調味料や食品保存などに幅広く用いられたと考えられる塩が、実社会においてどのような形で摂取されたかに着目し、『和名類聚抄』・『延喜式』・各儀式書・出土木簡の検討を通して、塩の活用法や役割を明確にし、古代の食文化の一端、人々の日常生活の一端を明らかにすることを目的としている。 本年度は、研究課題のうち下記の(1)・(2)の作業を中心に行った。 (1)二十巻本『和名類聚抄』の飲食部塩梅類に含まれる塩に関する項目の他、塩梅類以外の飲食部・稲穀部・菓蔬部・菜蔬部に掲出された食に関する項目を取り上げ、先行研究をふまえた上で、大東急記念文庫蔵本や東京大学国語研究室蔵本などの各写本の史料調査をし、字句の校訂を行った。その上で、各項目を説明する為に引用されている書については、可能な限り原史料との比較を行った。特に漢籍に関しては、『和名類聚抄』での引用の仕方や使用頻度等にも着目した。これらの作業を通して、古代における食品の辞書的な意味を明確にすることに努めた。十巻本についても現在検討を進めている。 (2)「六国史」・出土木簡・正倉院文書・『延喜式』・『日本霊異記』等の史料から、塩を用いて作られた食品名とその他の食品名を取り上げてデータ化し、さらに記載された内容から可能な限り材料・数量等の情報を加えた。食品名をデータ化することにより、史料ごとの特性やある食品がどのような場で用いられたか等の比較が可能となった。食品に関するデータは、本年度以降も出土文字資料を中心に継続して取っていきたい。 現在は、(1)の作業で得られた古代における食品の辞書的な意味と(2)の実際に食された品々と比較検討し、その相異について考察を進めている。
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