2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00475
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
澤井 秀朋 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星爆発 / マグネター / 固有速度 / 磁気流体 / 数値計算 |
Research Abstract |
今年度は研究テーマである「磁場、回転を伴う重力崩壊型超新星爆発」の中でも特にマグネターの固有速度の研究に力を注いだ。 マグネターとはきわめて強い磁場を持つ中性子星のことであり、その強磁場はマグネターを生み出す超新星爆発のダイナミクスに強く影響を与える可能性がある。そのため、初期磁場の形状によっては、磁場が非赤道面対称爆発を引き起こし、結果マグネターが反跳を受けることも十分に考えられる。我々は、最近の星の進化計算で得られている磁場の形状を踏まえ、初期に赤道面非対称磁場を与えて、結果得られる超新星のダイナミクスとマグネターの固有速度について数値的に調べた。通常の中性子星では多くの固有速度の観測がある一方、マグネターのそれはかなり乏しいのが現状である。そのため、我々の研究は将来の観測を予測する類のものである。数値計算の結果得られた固有速度は平均的に秒速300-500km、中には秒速1000kmもの値をはじき出すモデルもあった。これは、よく知られている通常の中性子星の固有速度と似たものである。これにより、マグネターも通常の中性子星と同様、大きな固有速度を持ち得るという重要な示唆が得られた。 研究代表者が、2月に参加したアメリカでの研究会で得た情報によると、最近いくつかのマグネターにおいて、固有速度の観測が行われたようであり、その結果を書いた論文はまもなく出版されると思われる。マグネターの固有速度は、今後多くの研究者が興味を持つと考えられる対象なので、この時期にこうした数値計算結果を出した意義は大きい。 この結果をまとめた論文は現在Astrophysical Journalに投稿中である。 また現在、次の研究である「磁場、回転を伴う重力崩壊型超新星爆発の3次元シミュレーション」に向けて、数値コードを独自に開発中である。
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