2007 Fiscal Year Annual Research Report
物理モデル駆動による非写実的コンピュータグラフィクスとその応用に関する研究
Project/Area Number |
05J00477
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田崎 大輔 Waseda University, 情報生産システム研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 仮想銅版画 / コンピュータグラフィクス / 非写実的画像合成 / 物理モデル駆動 / 知的アーカイブ |
Research Abstract |
本年度では主に以下の4項目について研究・調査した。 銅版画技法および最先端CG技術のサーベイ:銅版画作家の意見を直接に仰ぐとともに,実際の制作工程を観察・体験することで,銅版画の各種技法を詳細に調査した.また,米国計算機学会主催のSIGGRAPH2007や国内学会などに参加することで,最先端のCG技術について学術調査した. 油膜の影響を考慮した着色モデルの提案:銅版画用の一般的なインクは顔料と亜麻仁油を練り合わせて作られるため,油分が版面に薄い油膜として残る.この油膜は印刷結果に灰色の中間調となって現れる.昨年度までに提案していた仮想銅版画手法では,油膜による着色は考慮しておらず,紙色とインク色とを線型補間するモデルを用いていた.そこで,実際に銅版画家に油膜による着色効果が顕著に現れたテストパターンを制作してもらい,その濃淡階調を解析した.そこで得られた知見に基づき,油膜色を考慮した非線型な着色モデルを提案することで,油膜による着色を良好に再現することができた. 知的アーカイブに関する検討:これまでに提案している仮想銅版画手法では,歴史的に貴重な銅版画作品や写真等の二次元画像を,ストローク情報や切削箇所や回数を表現する中間表現と呼ばれるデータに変換してシステムへの入力としている.そこで,入力画像の線分や濃淡から情報を自動的に抽出して中間表現に変換し,銅版画の仮想復刻版を生成する手法について検討・実装した. 研究成果の公表:実験で得られた知見を情報処理学会論文誌にて英語論文として発表し,平成19年度IPSJDC船井若手奨励賞を受賞するとともに,同学会のグラフィクスとCAD研究会優秀研究発表賞も受賞した.このように本研究は高い評価を得ている.また,銅版画の専門誌である大学版画学会にて解説論文を発表することで,銅版画の専門家からも評価を得ることができた.
|
Research Products
(6 results)