2005 Fiscal Year Annual Research Report
物理モデル駆動による非写実的コンピュータグラフィクスとその応用に関する研究
Project/Area Number |
05J00477
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田崎 大輔 早稲田大学, 情報生産システム研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 仮想銅版画 / コンピュータグラフィクス / 非写実的画像合成法 / 物理モデル駆動 / メゾチント / 紙の変形モデル |
Research Abstract |
本年度は以下の4点について主に研究・調査を行った. 1.関連研究および銅版画技法のサーベイ:銅版画に関する先行研究や,銅板を用いた芸術作品の一つであるエンボスの再現手法,金属面に付けた引掻き傷のレンダリング手法などの関連研究を調べ,それらと本研究との差別化を行った.また,欧州や国内の美術館では歴史的に貴重な銅版画作品の調査を行った. 2.メゾチント技法の再現:数ある銅版画の製版技法の中でもメゾチントと呼ばれる代表的な製版技法に注目し,その製版工程である「版面全体をまくれさせる工程」,「まくれを部分的に削る工程」,「版面を部分的に磨く工程」をそれぞれモデル化した.特に,版面全体をまくれさせる工程では点状と線状の二種類の手法を考慮した.これらのモデルにより,版面上のまくれに残存するインク量を調節し,メゾチントの特徴である黒から白への階調を再現することができた. 3.紙の変形モデルの提案:銅版画を制作する際の物理的な現象を観察するために,芸術学部の銅版画を専門とする方の協力を得て銅版画の制作実験を行った.これにより,銅版画ではその他の印刷技法に比べて紙の変形という現象が重要であり,これを再現することが必要であるということを新たな知見として見出すことができた.そこで,銅版形状に従って変形する紙の巨視的な形状モデルと,紙の弾力性や水分含有率などによって変化する微視的な凹凸形状モデルを定義し,これらの和で紙の変形形状を表現する手法を提案した.本物の銅版画と比較実験することで,実際の銅版画で生じている紙の形状変化を良好に表現できることを示した. 4.研究成果の社会還元:上述の知見を,コンピュータグラフィクスに関する国際会議の双壁と称されるSIGG RAPHとEurographicsで発表し,国際的な評価を得た.また国内では,情報処理学会の研究会などで研究成果を発表した. (800文字)
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Research Products
(2 results)