2007 Fiscal Year Annual Research Report
ボース・アインシュタイン凝縮系における自発的対称性の破れと素励起
Project/Area Number |
05J00478
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
段下 一平 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光格子 / 超流動 / モット絶縁体 / 密度行列繰り込み群法 / 二本脚梯子 / 量子相転移 |
Research Abstract |
ごく最近、NISTの実験グループによって「二重井戸光格子」という斬新な光格子が実現され注目を集めている。二重井戸光格子とは単位胞が二重井戸ポテンシャルの二次元光格子で、波長の異なる二つの二次元光格子を重ね合わせて作られる。申請者は、その二次元平面と垂直な方向にも独立な周期ポテンシャルがあり、三次元空間で見ると二本脚梯子型ポテンシャルが二次元的に並んでいるとみなすことができることを指摘した。SrCu_2O_3などの銅酸化物やピロリン酸バナジル(VO)_2P_2O_7といった化合物もこのような二本脚梯子型の結晶構造を持つが、二重井戸光格子に閉じ込められているのはBose粒子であるという点でこの系は全く新しい未開拓な系であった。さらに、鎖内(鎖間)ホッピングt_‖(t_⊥)、on-site相互作用U、二重井戸の傾斜λ、サイトあたりの粒子数νといったを自在に調節できるという利点からも、新奇な現象の発見が期待されていた。 申請者は二本脚梯子の場合に焦点をあて、二重井戸光格子中のBose気体における絶対零度での超流動・絶縁体転移を理論的に調べた。Time-evolving block decimation法でBose-Hubbardモデルを数値的に解くことにより超流動・絶縁体転移の相境界を特定し、相境界が二重井戸に特有のパラメータである鎖間ホッピングt_⊥と傾斜λに顕著に依存することを明らかにした。特にν=1の場合に、二重井戸を傾けていくことによって、絶縁体から超流動に転移し、そしてまた絶縁体に戻るというリエントラント相転移が起こるという筋書きを示した。このリエントラント相転移が起こる理由が、λ=Uの点で二重井戸の両サイトに粒子が一つずついる状態と片方のサイトだけに粒子が二ついる状態が共鳴することにより、系が超流動相を指向するためであることを指摘した。
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Research Products
(7 results)