2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマー系ナノコンポジットの宇宙機器用構造・絶縁材料としての可能性の基礎検討
Project/Area Number |
05J00481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
布施 則一 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノコンポジット / ポリマー系ナノコンポジット / 宇宙機器用複合材料 / 電気絶縁 / 誘電特性 / フォトルミネセンス |
Research Abstract |
1.ポリアミドナノコンポジット(NC)の優れた耐部分放電性と耐プラズマ性には、ナノフィラーによる分子運動の抑制と防護層の形成が共通して寄与していることが前年度までに分かっている。本年度は両劣化による表面構造の変化をより詳細に解析・比較した。その結果、前述の防護層形成はどちらの劣化でも劣化初期におこり、その後の劣化を効果的に抑制すること、さらに部分放電劣化では、ナノフィラーが部分放電により形成される劣化孔の拡大を抑制していることを明らかにした。実施計画に記載した放電パルスの解析は次年度に持ち越しとした。 2.エポキシNCの耐紫外線性の評価を開始した。AlO(OH)、TiO_2、SiO_2いずれのナノフィラーについても、添加によりエポキシの紫外光に対する耐性が向上する結果が得られている。この機構を、紫外光吸収及び各種機器分析により解析し、次年度発表したいと考えている。 3.フォトルミネセンス法による構造解析は、他機関より「ナノフィラー添加による新たな電子局在準位の形成」が報告されたのを受け、エポキシNCの評価に先立ち、昨年度と同くポリアミドNCとポリエチレンNCを用いて評価した。昨年度は室温における発光を評価したが、本年度は、発光強度が増加する極低温下での発光と紫外光吸収を評価した。その結果、ナノフィラーを充填しても発光、紫外光吸収スペクトルはどちらも本質的に変化しないことが分かった。現有の測定系では新たな電子局在準位の形成を示唆する光学遷移は観測されなかったと判断している。 4.ポリエチレンNCの誘電率はMgOフィラーを1部(部:樹脂重量100に対して添加したフィラー重量)添加したとき最低値を取る。また、導電率はMgOフィラーを添加すると低下する。後者の機構としては、ホッピング伝導的な電荷輸送が分子運動の抑制により抑制されることが考えられる。
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Research Products
(3 results)