2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマー系ナノコンポジットの宇宙機器用構造・絶縁材料としての可能性の基礎検討
Project/Area Number |
05J00481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
布施 則一 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノコンポジット / ポリマー系ナノコンポジット / 宇宙機器用複合材料 / 電気絶縁 / 誘電特性 / フォトルミネセンス |
Research Abstract |
ポリマーナノコンポジット(NC)のポリマー/フィラー界面における相互作用領域に着目し、以下の考察を行った。 1. ポリアミドNCにおける分子や電荷の運動を複素誘電率(ε_r',ε_r")の温度及び周波数依存性から推定した。結晶/非結晶界面での分極、双極子配向及びアミド基の回転運動に由来する緩和の緩和時間はいずれもナノフィラー添加により長くなる。ナノフィラー添加により分子運動が抑制されると考えられる。また、ナノフィラー添加により電荷の移動に基づくε_r'とε_r"の急激な上昇は抑制される。分子運動の抑制によりイオンの移動が阻害される為と考えられる。(電気学会放電/誘電・絶縁材料/高電圧合同研究会で発表済。現在査読付論文へ投稿準備中)。 2. 直流電圧印加時のポリアミドの吸収電流Iを測定した。Iは電圧印加後経過時間tに対しI∝t^<-0.62>をなす。ハモンの近似式を用いてIより複素誘電率を算出し、上記1.で得られた複素誘電率と比較した。両者はほぼ一本の曲線上に並び、近似の有効性を確認するとともに、実測不可能な低周波数領域(10^<-6>〜10^<-3>Hz)における複素誘電率が推定できた(電気学会全国大会で発表済)。 3. 真空紫外光を用いてポリアミドとポリエチレンの電子局在準位を評価した。ナノフィラー添加により両試料に出現する新吸収帯は、いずれもフィラー自身に由来する。ポリアミドで3.0eV、ポリエチレンで4.3、3.7、2.9eV付近に観測される発光帯はいずれもベース樹脂由来であり、これらの発光、励起、及び減衰スペクトルはいずれもナノフィラーを添加しても本質的に変化しない。また、ナノフィラー添加による新たな発光帯も観測されない。少なくとも評価した2種のNCでは、発光性の新たな電子局在準位は本研究の測定感度を越える密度以上には生じないと考えられる(電気学会誘電・絶縁材料研究会で発表済。現在査読付論文に投稿中)。
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Research Products
(8 results)