2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機単分子膜修飾ゲートFETを用いたアミノ酸のオンラインキラル識別センサの構築
Project/Area Number |
05J00500
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松永 真理子 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組織化単分子膜 / キラル / センサ / 電界効果トランジスタ / 銅錯体 / アミノ酸 / キラル識別 / 配位子交換反応 |
Research Abstract |
昨年度までも様々なキラル現象を自己組織化単分子膜上で評価してきたが,対象物質自体の性質を利用した検出方法を扱っていたため,キラルセンサとして利用するには検出感度や対象分子の種類に限りがあった.今年度はクロマトグラフィーによる光学分割(キラルクロマトグラフィー)らでしばしば用いられているキラル配位子交換反応に着目し,特に反応に関与するCu(II)を指標にした評価を行った.溶液中に存在する光学活性アミノ酸とのキラル配位子交換反応の場としてホモシステインの自己組織化単分子膜を利用し,Cu(II)近傍の情報を敏感に反映する反応として知られる電気化学反応により,評価を行ったところ,Au電極上におけるCuのアンダーポテンシャル析出(UPD)が対象分子であるアミノ酸のキラリティーによりキラル選択的に進行することが,反応に伴う電流値として顕著に観測された.以上の結果から,ホモシステイン自己組織化単分子膜が配位子交換反応の場として高いキラル選択性を有するものと期待された.また,この選択性は第一級アミンを有するロイシン,アラニン,フェニルアラニン,DOPAのキラル識別を非常に選択性の高く検出することに成功する一方で第二級アミンを有するプロリンのキラル識別は明瞭に観測されないことなどを明らかにし,これらの成果をElectrochemistry communicationsにまとめ,日本化学会(前年度3月末)およびChiralityで発表した. さらに,上述の現象をFETセンサへ応用するにあたって,Au電極のラフネスや溶液のCu(II)の添加条件がキラル選択性に及ぼす影響等も調べた結果,平滑なデラス(2000nm以上)をもつAu電極,および高い銅の濃度勾配が電気化学的検出におけるキラル選択性に重要であることがわかった. 現在はゲート部がAuで修飾されたMOSFET上をホモシステイン自己組織化単分子膜で修飾し,キラル配位子交換反応のFETによる検出・評価を試みている.一方で新規超高感度FETデバイスの検討も進めており,成果を原著論文として投稿中である.
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Research Products
(3 results)