2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00501
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩花 永以子 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視交差上核 / リチウム / 時計遺伝子 / 体内時計 / リン酸化 / 行動リズム / 感情障害治療薬 / GSK |
Research Abstract |
GSK-3の周期延長作用の標的時計遺伝子を探索する目的で、さまざまな時計遺伝子変異マウスを用い、リチウムの効果を調査し、その標的時計遺伝子を明らかにする。リチウムがGSK-3を標的として周期を延長させ、GSK-3のリン酸化がどの時計遺伝子をターゲットにしているかを明らかにする目的で、Clock(長周期)、Per2(短周期)よびCry(無周期)変異マウスを使用し、行動データとして活動リズムの周期性が、リチウム投与によってどのようになるかを明らかにする実験を行った。その結果、リチウムによる行動リズムの周期延長作用はClock, Per2いずれのマウスでも認められ、リチウムがこれらの時計遺伝子に直接的に作用する可能性が低かった。本研究を遂行中に、GSKによるリン酸化のターゲット時計分子として、Cry2である可能性が報告された。そこで、Cry2の遺伝子変異マウスを使用し、リチウムを餌に含ませて与えたところ、この場合も行動リズムはリチウムにより有意に延長されることが明らかになった。したがって、現在までのところ、リチウムが作用する時計遺伝子は見出せなかった。ところで、ハムスターは老化すると周期が延長することがわかっている。そこで、老化による周期延長作用にリチウムがGSK-3を介してかかわっているか、否かを調べた。老化ハムスターにリチウムを与えても周期延長作用が見られなかった。また、老化ハムスターの視交差上核のGSK-3の免疫染色を行ない、発現が低下しているか否かについて調べた。その結果、老化ハムスターの視交差上核のGSK-3陽性細胞数は顕著に減少していた。以上の結果、老化ハムスターでは視交差上核のGSK-3活性が低下し、その結果リチウムの作用が見られなかった可能性が指摘された。
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Research Products
(1 results)