2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いたホスホイノシチド動態の解析
Project/Area Number |
05J00512
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
飯塚 了太 Akita University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イノシトールリン脂質 |
Research Abstract |
生体内のホスホイノシチド(PIs)動態とその生理的意義をより深く理解するため、Plsの中でも存在比が低く解析が進んでいなかったPI(3,5)P2に焦点を当てた。酵母のPI(3,5)P2合成酵素であるFab1pは酵母の生存および増殖に必須の酵素であることが知られているが、ほ乳類のPI(3,5)P2代謝が関与する細胞生理機能についてはほとんど明らかにされておらず、ほ乳類のPI(3,5)P2産生酵素であるPIPKIII、および分解酵素として報告されているSac3に着目し、PI(3,5)P2代謝酵素の生理的意義の解明を試みた。HeLa細胞を用いて、RNA干渉法によりPIPKIIIおよびSac3の遺伝子発現を抑制したノックダウン細胞の樹立に成功した。PIPKIIIノックダウン細胞では、位相差顕微鏡下でFab1欠損酵母に見られる肥大した液胞に類似した構造物(空胞)が観察された。この空胞は後期エンドソームマーカーであるLAMP1陽性であり、Fab1欠損酵母の液胞との類似点も多く、後期エンドソームの成熟過程におけるPI(3,5)P2代謝酵素の役割が、種を超えて進化的に広く保存されていることが示された。一方で、酵母ではPI(3,5)P2代謝酵素が細胞増殖や細胞死の制御に深く関与するのに対し、ほ乳類細胞ではPI(3,5)P2代謝酵素が細胞の増殖や生存には必須でないことが示唆され、PI(3,5)P2代謝酵素が制御する細胞生理機能が、種によって異なることが示された。また、前年度までに作製した各種PIs可視化プローブを用いて、上記の変異細胞におけるPIsの動態を解析した。その結果、PI3Pが肥大化前期の空胞に蓄積することを見い出した。PI3P→PI(3,5)P2の変換反応が、初期エンドソームから後期エンドソームへの正常な成熟に重要である事が示唆された。(776文字)
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Research Products
(1 results)