2005 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビットへの応用を目指した強磁性体/高温超伝導体接合作製に関する基礎研究
Project/Area Number |
05J00518
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 博美 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 垂直ブリッジマン法 / 界面非破壊評価 / 放射光 |
Research Abstract |
良質な界面を有する強磁性体/高温超伝導体の接合作製についての基礎技術開発を行った。具体的にはまず、接合作製用基板に用いる大型Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>(Bi-2212)単結晶を改良垂直ブリッジマン法により育成した。本研究では特に、基板用Bi-2212単結晶の更なる大型化および高品質化を狙って大口径坩堝の使用および育成雰囲気制御等を行った。その結果、非常に大型のBi-2212単結晶(ab面サイズ:20.5×6.5mm^2)を得ることに成功した。得られた単結晶を、微量元素の検出が可能である高輝度放射光(SPring-8)を用いた超高分解能内殻光電子分光により評価した。その結果、単結晶は構成元素以外の不純物を含んでおらず、更には(Bi-2212単結晶でしばしば生じる)Sr⇔Ca固溶置換も殆どない、極めて高品質な単結晶であることが分かった。この結果は、磁化-磁場特性で得られた小さなΔM(=2emu/g@60K)が示す結果とも矛盾しない。又、光電子分光測定の結果から、坩堝から取り出したas-grown単結晶の表面は超伝導において重要なCuO_2面からOが抜けてCuの価数が小さくなっていることも分かった。この表面還元層ではドーピング状態が最適値から大きくずれており、非超伝導体となっている。従って、このままでは単結晶基板として用いることが出来ない。そこで、超伝導特性が優れ、清浄且つ平坦な単結晶表面を得る為の工夫を行った。その結果、高真空中劈開する方法が良質な単結晶表面を得るのに最も良い方法であることが明らかとなった。 今後は、上述のようにして得られた高品質な大型Bi-2212単結晶の劈開面を基板とし、その上に強磁性体を成膜する。そして、得られた接合の界面ナノ領域化学結合状態等を厳密に調べる為、高エネルギー放射光励起内殻光電子分光による評価(depthプロファイル)を行っていく。
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Research Products
(4 results)