2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビットへの応用を目指した強磁性体/高温超伝導体接合作製に関する基礎研究
Project/Area Number |
05J00518
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 博美 独立行政法人物質・材料研究機構, 共用基盤部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | ASGQP / 界面非破壊評価 / 放射光 |
Research Abstract |
良質な界面を有する強磁性体/高温超伝導体の接合作製についての基礎技術開発を行った。具体的にはまず、接合作製用基板に用いるBi_2Sr_2Ca_<n-1>Cu_nO_<8+δ>[n=1-3]超伝導ウィスカー(以下、Bi系ウィスカー)をASGQP法(an Al_2O_3-seeded glassy quenched platelets method)により育成した。ウィスカーは究極の結晶性を持つ高品質単結晶として知られている為、接合作製用基板として適している。 従来法によるウィスカー育成では成長が50h程度で飽和することが知られている。我々は、この成長飽和の原因として、(母材であるガラス急冷体から成長してくる)ウィスカーの根元付近[:すなわち、成長界面]におけるAl_2O_3触媒の減少を考えた。ASGQP法ではガラス急冷体表面に過剰なAl_2O_3粉末を散布し、熱拡散させることで、(育成とともに)ガラス急冷体表面近傍に生じるAl_2O_3触媒の欠乏を解消させる。又、育成時の温度および雰囲気の最適化等も行った。その結果、最大で11mm×200μm×30μm程度のサイズを有するウィスカーを得ることに成功した。この時の育成条件は温度:870℃,酸素流量:120ml/min、育成時間110hであった。この我々の開発したASGQP法は従来の育成法と比較して、2倍近い成長速度を実現できることからBi系ウィスカー育成において大きな進展をもたらしたと言える。 又、得られたBi系ウィスカーを、微量元素の検出が可能である高輝度放射光(SPring-8)を用いた超高分解能光電子分光により評価した。その結果、as-grownウィスカーの表面には、酸素が過剰に抜けた還元層(:非超伝導体層)が数〜60Å程度存在することが明らかとなった。従って、このままでは接合作製用基板として用いることが出来ない。そこで、表面還元層特性を改善する方法を検討した。その結果、酸素雰囲気中において適切にアニール処理を行うことで、超伝導特性が優れていて且つ清浄なウィスカー表面が得られることが明らかとなった。 今後は、得られた高品質なBi系ウィスカーを基板とし、その上に強磁性体を成膜する。得られた接合は、界面ナノ領域化学結合状態等を厳密に調べる為、高エネルギー放射光励起光電子分光を用いたdepthプロファイルにより評価される予定である。
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Research Products
(5 results)