2005 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡による磁性強誘電体の結晶構造と磁性・強誘電性ドメイン構造の解析
Project/Area Number |
05J00533
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
浅香 透 独立行政法人物質・材料研究機構, 超高圧電子顕微鏡ステーション, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 磁性体 / 強誘電体 / ドメイン構造 / 透過型電子顕微鏡 / 遷移金属酸化物 / マルチフェロイクス / 結晶構造 |
Research Abstract |
強磁性強誘電体の物性に対して、そのドメイン構造に着目して、透過型電子顕微鏡法を用いて研究を行った。まず、BiMnO_3の強誘電性ドメインと強磁性ドメインの構造について、電子回折や暗視野法、高分解能法、そしてローレンツ電子顕微鏡法などにより調べた。その結果、強誘電性90°ドメイン壁は常に磁壁としても作用していることが分かった。また、強誘電性180°ドメイン壁も磁区構造に影響を与えることが分かった。 磁性強誘電体リラクサーの作製を目指し、(Bi_<1-x>A_x)(B_<0.5>B'_<0.5>)O_3(A:アルカリ土類元素、B:3d遷移金属元素、B':4dあるいは5d遷移金属元素)の多結晶体の合成を試みた。多くのものは単相試料を得ることが困難であったが、Bi_<1-x>La_xMnO_3については良質な単相試料を合成した。得られた試料について電子顕微鏡観察した結果、xに依存して斜方晶-菱面体晶構造相転移が起こることが分かった。また、相転移の起こる組成近傍で構造的な短範囲秩序や、電子顕微鏡像上でツイード構造が現れることが分かった。ここで、短範囲秩序やツイード構造は強誘電体リラクサーにおいてもよく観察されるものであることから、本研究で得られた物質も強誘電体リラクサーになりうる可能性を示唆している。また、得られたBi_<1-x>La_xMnO_3は磁性的には強磁性で、実際、ローレンツ電子顕微鏡観察では磁区構造が観察された。 磁場印加その場観察手法を確立し、実際に磁場下での磁区構造の変化をその場観察した。その結果、本研究に供した遷移金属酸化物では双晶境界、反位相境界、強誘電性ドメイン壁などで比較的強く磁壁はピンニングされていることが分かった。 得られたローレンツ電子顕微鏡像について強度輸送方程式に基づいた電子線位相変化解析ソフトを用いて、試料内の局所磁化分布を半定量的に解析した。
|