2006 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡による磁性強誘電体の結晶構造と磁性・強誘電性ドメイン構造の解析
Project/Area Number |
05J00533
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
浅香 透 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁性体 / 強誘電体 / ドメイン構造 / 透過型電子顕微鏡 / 遷移金属酸化物 / マルチフェロイクス / 結晶構造 |
Research Abstract |
磁性強誘電体の結晶構造やドメイン構造と磁性との関係に着目して、主に透過型電子顕微鏡法を用いて研究を行った。まず、昨年度から引き続き、磁性強誘電体リラクサーの作製を目指し合成したBi_<1-x>La_xMnO_3について、SQUID磁束計を用いてその磁気特性を、粉末X線回折装置を用いて結晶構造を調べた。その結果、本系はキュリー温度100〜120Kの強磁性体であり、xに依存して斜方晶-菱面体晶構造相転移することが分かった。また、電子顕微鏡観察により構造相転移を示す組成近傍では本系は変調構造を有することが分かった。現在、この変調構造と強磁性磁区構造の関係について調査中である。 最近、磁性強誘電体として見出された六方鉄酸化物(Ba_<0.5>Sr_<1.5>Zn_2Fe_<12>O_<22>)の局所磁性と磁場誘起常誘電-強誘電相転移を調べるために電子顕微鏡用試料を作成し、予備観察を行った。本物質は低磁場では常誘電であるが、1〜2テスラ程度の磁場下で強誘電相に相転移する。またそれ以上では再び常誘電相となる。常誘電相であるゼロ磁場での結晶構造は空間群R-3mの六方晶構造であることをローレンツ電子顕微鏡により確認した。また同じく常誘電相が現れる3テスラの磁場下でも同様の結晶構造を持つことが分かった。着目すべきは1〜2テスラの磁場下で現れる強誘電相であるが、その磁場下で電子顕微鏡観察を行うための実験条件を検討した。試料への磁場印加には電子顕微鏡の磁界対物レンズを用いる。ここで通常の電子顕微鏡観察においては、試料は対物レンズが発生する3テスラ程度の磁場下に置かれるが、1〜2テスラの磁場を得るには対物レンズの励磁条件を調整する必要がある。今回その調整を行い、磁場を評価すると共に、その条件下で電子顕微鏡像を観察するための条件出しを行った。 また、電場印加その場電子顕微鏡観察手法を検討し、そのための電子顕微鏡試料の作成に取り掛かった。
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