2007 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡による磁性強誘電体の結晶構造と磁性・誘電性ドメイン構造の解析
Project/Area Number |
05J00533
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
浅香 透 National Institute for Materials Science, ナノ計測センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁性体 / 強誘電体 / ドメイン構造 / 透過型電子顕微鏡 / 遷移金属酸化物 / マルチフェロイクス / 結晶構造 |
Research Abstract |
磁性強誘電体の結晶構造やドメイン構造と磁性との関係に着目して、透過型電子顕微鏡法を用いて研究を行った。まず、昨年度までに合成が成功しているBi_<1-X>La_XMnO_3の変調構造と強磁性磁区構造、さらにはそれらの関係について、ローレンツ電子顕微鏡法と通常の透過型電子顕微鏡法を併用し、調べた。本系の変調構造についてはq〜0.13a^*の変調ベクトルをもち平均構造と非整合の変調構造を持つことが分かった。ローレンツ電子顕微鏡法により、この変調構造相は強磁性であることを明らかにした。また、強磁性磁区は結晶磁気異方性の弱いソフト磁性体に典型的に見られる構造を持ち、さらに変調構造との相関は見出されなかった。 最近、磁性強誘電体として見出された六方鉄酸化物(Ba_<0.5>Sr_<1.5>Zn_2Fe_<12>O_<22>)の局所磁性と磁場誘起常誘電-強誘電相転移を調べた。本系は340K以下でらせん磁性を示すがローレンツ電子顕微鏡で観察した結果、試料の薄い部分で強磁性磁区が観察された。これはらせん磁性が薄膜効果のために変調を受け、生じたものと考えられるが、詳細については今後更なる研究が必要である。さらに、磁場誘起常誘電-強誘電相転移における結晶構造相転移をその場電子顕微鏡観察し、結晶構造の変化を見出した。 磁性強誘電体の電場下での結晶構造や磁気構造の変化を観察するために、電極付き電子顕微鏡試料の作製を行った。テストサンプルとして室温で電荷整列を起こすマンガン酸化物を採用し、作製にはFocused Ion Beam(FIB)を用いた。実際に作製した試料をSTM tipを有した電子顕微鏡その場観察ホルダーで実験した結果、設計した試料は実際に機能することが分かったが、高い電圧を印加すると試料と試料ホルダーの接着が弱くなる問題が生じた。この問題点を考慮に入れた新たな試作品を作製、実験に取り掛かった。
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