2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属粒子上に吸着した単一分子の表面増強コヒーレント振動の検出
Project/Area Number |
05J00538
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
芝本 幸平 首都大学東京, 理学部, 特別研究員
|
Research Abstract |
金属ナノ微粒子において、そのSERS高活性二次元ナノアレイ構造体(2d-NAS)の作製に成功した。作製した2d-NASは従来の2d-NASに比べ、以下の特長を持つ。まず、高密度、高秩序性、大面積を実現した点である。次に、光応答性の高い粒径領域である10nmから200nm程度の金ナノ微粒子において2d-NASを実現した点である。さらに、最も大きな特長として、金ナノ微粒子の表面を非化学修飾の状態で作製に成功した点が挙げられる。これらの特長は、作製した金ナノ微粒子による2d-NASをセンサーなどの極微量分子の検出を定量的に行う必要のある応用に対応できるため、非常に有用な基板であると考えられる。本基板の作成法は特許申請により詳細は報告できないが、実際の実験例として、作製した基板上に吸着させた10^<14>particle/cm^2程度という極微量分子のラマン信号の検出に成功した。吸着させた分子は単層レベルであり、かつ信号強度は金属ナノ微粒子間の特殊場に存在する分子が支配的であるため、本結果は、単一分子レベルの検出の可能性を示唆するものである。現在、本結果を投稿準備中である。 一方、レーザー脱離イオン化による質量分析法に取り組んだ。イオン化において最も重要であるイオン化基板の開発を行った。その結果、表面を10-ウンデシレン酸を化学修飾し、かつ表面をサブマイクロメートルオーダーで構造を制御したシリコン基板の開発に成功し、フェムトモル(10^<-15>mol)オーダーの分子の検出に成功した。また、アモルファスカーボン基板による知見から、そのイオン化機構を検出した。現在達成されているフェムトモルオーダーの検出限界から、さらにアトモル(10^<-18>mol)オーダーへ検出感度を向上させることにより、イオン化基板に吸着させた試料分子を単層レベルで検出することが可能となり、単分子レベルの検出の質量分析の立場から実現が達成される可能性が考えられる。
|
Research Products
(2 results)