2006 Fiscal Year Annual Research Report
インターミッテンシー・カオスのモデリングと大規模結合系への応用に関する研究
Project/Area Number |
05J00558
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上手 洋子 徳島大学, 大学院ソシオテクノサイエンス研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | インターミッテンシー / カオス / カオス同期 / 結合カオス回路 / モデリング / 1次元写像 / 複雑系 / 引き込み領域 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、カオス回路の結合数を大規模にしたシステムでのより複雑な現象の調査・解明であった。カオス回路数の大規模化を考えると、確率モデルでのモデリングでは計算量が大幅に増えるという問題点が明らかになった。そこで、カオス回路から1次元写像を求め、その写像を用いた新しいモデリング手法を提案した。このモデリング方法を用いて大規模カオス回路で発生する複雑現象について調査を行った。 主たる結果は以下の通りである。 1.1次元写像を用いたモデリング方法の提案 インターミッテンシー・カオスを発生するカオス回路を2つ結合したシステムでは、3種類の同期状態が観測され、インターミッテンシー・バーストによりこの3種類の同期状態が切り替わる興味深い現象が観測される。この同期状態の切り替わりをモデリングするにあたり、1つのカオス回路がバースト状態になればもう片方のカオス回路もバースト状態に引き込まれ、同期が崩されバーストが落ち着いた後、新しい同期が生まれると考えた。そこで、1つのカオス回路から得られる1次元写像を求めた。さらに、3種類の同期状態を求めるために引き込み領域を調査し、3種類の同期状態の発生確率を求めた。1次元写像と同期状態の発生確率を用いることで、本システムの複雑現象をモデリングすることが可能となった。シミュレーションを行い、提案モデリングが実際の現象とよく似た振る舞いをすることを確認している。 2.大規模結合系への応用 結果1で提案されたモデリングを用いて、大規模系への応用を検討した。本モデリング手法は、結合数に応じて1次元写像から得られるラミナー部とバースト部の確率を計算するだけでシステム全体の振る舞いをモデリングすることが可能であり、少ない計算量で実際のシステムで観測される複雑現象を再現することを確認した。
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Research Products
(6 results)