2006 Fiscal Year Annual Research Report
旧世界ザルに於けるHIV-1複製阻害機構の解明と新規サル感染モデルの開発
Project/Area Number |
05J00561
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鎌田 和弥 徳島大学, 医科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV / AIDS / SIV / 種特異性 / 宿主因子 / 動物モデル / Vif / レトロウイルス |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の感染宿主域は狭く、実験用マカクザルには感染しない。そのため、理想的な動物感染モデルは存在しない。本研究では、ウイルス遺伝子の宿主域決定領域を同定し、当該領域とサル細胞宿主因子との関係性を解析することでサル細胞の持つHIV-1複製阻害機構の全容解明を目指している。 昨年までにHIV-1感染性分子クローン(pNL432)をベースにGag(CA)遺伝子の一部とVif遺伝子をアカゲザル由来免疫不全ウイルス(SIVmac)配列に置換した変異体を多数作成し、そのほとんどの置換がウイルス粒子安定性に対して影響を与えない事を明らかにした。 本年は作成した変異体のヒトとサルのリンパ球株化細胞(ヒト:M8166,カニクイザル:HSC-F)に対する感染性を解析し、 1.Gag(CA)遺伝子の宿主因子Cyclophilin A(CyPA)結合領域とvif遺伝子の両置換を組み合わせた変異体(NL-ScaV)のみがHSC-F細胞にて感染・増殖すること 2.CyPA結合領域のSIVmac型への置換は、サル細胞中の持つウイルス感染初期過程(脱核から逆転写/核移行)での抗HIV-1効果に作用し、その抑制を緩和すること 3.vif遺伝子置換は、種特異的な抗レトロウイルス因子APOBEC3GによるHIV-1抑制作用を拮抗・阻害し、その結果、ウイルスの感染能増強に寄与すること などを見出した。また、HSC-F細胞とNL-ScaVを用いたウイルス馴化によって、よりサル細胞でのウイルス増殖能の強いウイルスクローン(NL-DT5)を単離し、その遺伝子解析からenv遺伝子が感染宿主域の決定に関与する可能性を示唆した。 現在は、それぞれの遺伝子置換と宿主因子との協調関係について分子生物学的手法を用いて解析を行っている。
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Research Products
(3 results)