2007 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴリピドーシスモデルマウスを用いた脳機能におけるスフィンゴ脂質の機能解析
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05J00563
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
冨永 久美子 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | クラッベ病 / ガラクトシルセラミド分解酵素 / twitcherマウス / 脳海馬体 / DNAチップ |
Research Abstract |
クラッベ病は、リソゾーム酵素の一つであるガラクトシルセラミド分解酵素(GALC)の遺伝的欠損が原因である。自然発生のモデルマウスとしてtwitcherマウス(Twi)が知られている。この遺伝的系統をC57BL/6JからC57BL/6J-129SV混合系へ変えることにより、臨床的、生化学的、神経病理学的に、劇症型のクラッベ病モデル動物となることを明らかにした。 129SV混合系統Twiの神経病理所見は特徴的で、脳海馬体CA3領域における神経細胞死が著明であった。本年度は、先入観を排除し、全脳の標本を詳細に検鏡し評価した結果、嗅球の僧帽細胞、淡蒼球およびマイネルト基底核、視床網様核、手綱核、乳頭体、動眼神経核、三叉神経運動核の発達障害が認められた。さらに大脳皮質の特定の領域での細胞構築の定型性が認められ、皮質の厚さも薄いことや、軽度の脳室拡大などの所見から、おそらく大脳皮質に入出力する線維が減少していることが考えられる。以上の解剖学的な所見から規則性を見出し、機能的な神経回路、神経伝導路、神経線維連絡との関連性を明らかにした(論文執筆中)。 病状の発症と経過に関連する遺伝子群をDNAチップ(マイクロアレイ)を用いて網羅的に解析した。マイクロアレイで得られた実験データと、解析データベース(Ingenuity Pathways Analysis:IPA)を用いて遺伝子ネットワーク、パスウェイや生物学的機能情報を得た。特に神経疾患に関わる遺伝子群について解析した結果、近年、海馬体の神経細胞の保護に関わる可能性が報告されたCXCL3遺伝子の発現が低下していることが明らかとなった。その発現の低下は、生後14日頃より認められ、このことが脳海馬体の神経細胞死に関わっている可能性が示唆された。以上の結果をもとに、分子生物学的、免疫組織学的に検討を重ね、さらに興味深い知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)