2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の酸素認識とオルガネラ間の情報伝達に関する研究
Project/Area Number |
05J00579
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
藤村 朱喜 東京農業大学, 生物産業学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Methylotrophic yeast / Alcohol oxidase / Petite mutant / Mitochondria |
Research Abstract |
本研究は酵母の酸素認識機構とその代謝制御の解明を目指している。 メチロトローフ酵母のメタノール代謝ではその初段階酵素アルコールオキシダーゼ(AOD)と呼吸鎖において酸素を大量に消費することから、両代謝系が局在するペルオキシソーム(Ps)とミトコンドリア(Mt)間で酸素の消費バランスを整えるためにオルガネラ間のクロストークを行っているものと思われる。筆者は真核生物の酸素認識およびそれに伴う代謝制御を明らかにする糸口として本メタノール代謝系が格好のモデルであると考え、メチロトローフ酵母のメタノール代謝系の酸素に対する発現誘導について詳細な解析を行った。 現在まで、メチロトローフ酵母のメタノール代謝酵素群は酸素の存在下でのみで誘導され、また、その発現誘導は酸素濃度依存的であることを明らかにし、報告してきた。一方、Mt呼吸鎖活性の阻害によりメタノール代謝酵素群の発現誘導が抑えられ、呼吸鎖活性の割合に応じてその発現量が制御されていることも見出している。そこで、本研究ではCandida boidiniiのMt遺伝子欠損株(ρ^0株)を取得し、そのメタノール代謝酵素群の酸素に対する発現制御について解析を行った。ρ^0株は酸素存在下においてもメタノール代謝酵素群の誘導が低く抑えられていた。つまり、呼吸鎖活性が酸素認識において重要な役割を果たしており、呼吸鎖活性に応じてメタノール代謝酵素群の発現誘導を制御していることが考えられる。 一方、メタノール代謝が呼吸鎖活性の発現誘導に与える影響をAOD欠損株で解析を行った結果、AOD欠損は呼吸鎖活性に全く影響を示さなかった。 以上のことから、メチロトローフ酵母のメタノール代謝における酸素認識はMt呼吸鎖活性にあわせてPsのメタノール代謝系の発現誘導を制御し、Mt呼吸鎖の状態認識し、その活性を常に優位に機能させるようメタノール代謝系を制御していることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Analysis of FLD1 gene encoding glutathione-dependent formaldehyde dehydrogenase in the methylotrophic yeast Pichia methanolica.2005
Author(s)
Fujimura S, Nakagawa T, Ito T, Chikui, M., Miyaji, T., Yurimoto, H., Kato, N., Sakai, Y., Tomizuka, N.
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Journal Title
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