2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00596
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土居 秀幸 愛媛大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生態系 / 食物網 / 湖沼 / 河川 / 水生昆虫 / プランクトン / 安定同位対比 / 鞭毛虫 |
Research Abstract |
1)ダム湖沼-河川生態系の食物網を介した生息場所連結 ダム湖沼のプランクトン食物網と,そのプランクトンが栄養源として供給される河川生態系の食物網について炭素・窒素安定同位体比による解析を行い,その構造を明らかにした。すなわち,ダム湖と川の生物(プランクトン,水生昆虫,巻き貝,付着藻類など)をダム湖下流10kmまで各地点で採集し,炭素・窒素安定同位体比を測定した。その結果ダム直下において,濾過食者トビケラはダム湖由来のプランクトンに依存していることが考えられ,捕食者であるカワゲラもダム直下ではダム湖由来の栄養源を起点とした食物網を構成していることが分かった。さらにダム湖から下流に行くにつれて,ダム湖起源の栄養源の影響は小さくなり,捕食者は内生産の付着藻類起源の食物網を構成するようになった。よって,ダム湖-河川生態系の連結はダム直下では食物網を介して高次栄養段階までその影響が波及することが示された。 2)ため池の食物連鎖の長さは微生物ループによって規定されるか? 食物連鎖長に関する3仮説(Productivity, Ecosystem-size and Productive-space hypotheses)について松山市の15のため池で検討した。窒素安定同位体比から算出した最大食物連鎖長(MTL)は生産性の指数となる栄養塩や生態系サイズとは有意な相関はみられず,よって,3仮説で重要であると示されている生産性と生態系サイズは,ため池におけるMTLの重要な決定要因ではないと考えられた。また,MTLは鞭毛虫個体数と有意な負の相関を示した。このことから,MTLは微生物ループの機能によって変化することが考えられ,MTLを考える上で微生物ループと古典的食物網のリンクが重要な決定要因になることが考えられた。
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