2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00596
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土居 秀幸 愛媛大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 食物網 / 河川 / 湖沼 / 安定同位体 / ダム / サケ科魚類 / アラスカ / 遡上 |
Research Abstract |
1.ダムによるダム湖-河川生態系の食物網を介した生息場所連結の違い 1年目の結果を踏まえて,さらに近畿圏の8つのダム湖沼とダム下流河川を対象として,ダム湖沼のプランクトン食物網と,そのプランクトンが栄養源として供給される河川生態系の食物網について炭素・窒素安定同位体比による解析を行った。また,各ダム河川にて底生動物の群集について解析した。その結果ダム湖によって下流河川に流出する動物プランクトン量には大きな違いが見られ,その結果底生動物の組成にもそれに対応して異なっていることが明らかとなった。下流河川の食物網については,どの下流河川においてもカワゲラとハゼ科魚類が最上位捕食者であったが,その炭素・窒素安定同位体比はダム間で大きく異なっていた。流量,支川合流ダム湖の大きさなどの様々なダム湖及びその下流河川の特性によって,ダム湖下流の食物網,また食物網を介した生息場所連結の程度は大きく異なっていることが明らかとなった。 2.湖沼-河川の生息場所連結とサケ科魚類による栄養塩回帰 アラスカにあるワシントン大学水圏水産科学科のアラスカ実験所にて研究に従事した。ベニサケが多く遡上する3つの河川と,ほとんど遡上しない3つの河川で,魚,水生昆虫,付着藻類などを河川内と河口付近にてベニサケ遡上前の6月と,遡上後の8月に採集した。現在分析中であるが,予測として,ベニサケが多く遡上する河川では,ベニサケによって海から栄養塩がもたらされて河川内の生産性が高くなり,それによって河川内や河口付近での生物が増加すると予測される。また海からの栄養塩が食物網へ寄与する割合について,窒素安定同位体比を用いて解析する予定である。
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