2006 Fiscal Year Annual Research Report
Thlaspi caerulescensにおける重金属集積機構の解析
Project/Area Number |
05J00618
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上野 大勢 岡山大学, 資源生物科学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Arabidopsis halleri / カドミウム / 亜鉛 / 超集積植物 / ファイトレメディエーション / ローディング / 導管 |
Research Abstract |
Arabidopsis halleriはカドミウムと亜鉛の超集積植物として知られているが、その集積機構の全容は明らかになっていない。本研究では、まずカドミウムの導管へのローディング機構の生理学的な解析と、導管内におけるカドミウムの移行形態の解析を行った。植物をカドミウムを含む溶液に暴露し、経時的に導管液を採取しカドミウムの濃度を測定したところ、導管液中のカドミウムの濃度は処理後1時間で外液の濃度を超え、8時間で外液の約10倍になり飽和した。次に、カドミウムの導管へのローディングのキネティクスを調べたところ、導管液中のカドミウムの濃度は外液の濃度に比例して直線的に増加した。さらに、亜鉛との間に拮抗作用が認められた。導管液中のカドミウムの形態を^<113>Cd-NMRを用いて解析したところ、無機イオンのカドミウムと同等のケミカルシフトを示した。また、イオンクロマトグラフィー及びHPLCで無機のアニオンとカチオン、有機酸の濃度を測定し、Geochem-PCによるシミュレーションを行ったところ、導管液中のカドミウムは約80%がフリーなイオンの形態で存在し、有機酸と結合している割合は1%以下であることが明らかになった。 次に、A.halleriの地上部におけるカドミウムと亜鉛の局在性を解析した。まず、カドミウムと亜鉛を暴露した植物の葉からプロトプラストを調製し、クロロフィルの含量を基準にして葉全体に対する細胞内へのカドミウムと亜鉛の局在性を調べた。その結果、葉全体の90%以上のカドミウムと亜鉛が細胞内に存在していた。また、プロトプラストから液胞を単離し、液胞のマーカーエンザイムの活性値を基準にして細胞内におけるカドミウムと亜鉛の局在性を解析したところ、それぞれ約60%が液胞に局在していた。このように地上部におけるカドミウムと亜鉛の主要な集積部位は液胞であることを明らかにした。
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