2005 Fiscal Year Annual Research Report
アブシジン酸アナログを用いたアブシジン酸8'位水酸化酵素の機能解明
Project/Area Number |
05J00661
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上野 琴巳 岐阜大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物ホルモン / アブシジン酸 / 代謝酵素 / P450 / 阻害剤 |
Research Abstract |
植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)主要代謝経路の初発酵素は、チトクロムP450モノオキシゲナーゼであるABA 8'-水酸化酵素である。植物体内における本酵素の機能を有機化学的に解明するために、ABA 8'-水酸化酵素に特異的な阻害剤を開発することにした。そこで本年度は本酵素における基質の構造要求性を明らかにし、酵素阻害剤を開発するためのリード化合物を設計・合成した。 昆虫細胞で発現させたABA 8'-水酸化酵素(CYP707A3)と、各部位を改変した45のABAアナログを用い、酵素との結合や酵素反応に関与している基質の官能基を調べた。その結果、ABA 8'-水酸化酵素は水酸化するABAの8'位とその近傍(9'位)の立体を厳密に認識している一方で、側鎖のメチル基(6位)と1'位水酸基は酵素との結合に関与していないことが明らかになった。ここで得られた基質の構造要求性とABA活性の構造要求性を比較し、ABA活性を有しないが酵素特異的に作用するようABA骨格を有した阻害剤のリード化合物・6-ノル-2',3'-ジヒドロ-4'-デオキソ-ABA(1)をデザインした。この化合物は容易に合成できるという特徴をもつ。実際に、6ステップ・29%の収率で化合物1を合成した。化合物1はABA 8'-水酸化酵素の拮抗阻害剤として作用し、その阻害定数はABAのKm値より下回っていた。このことから、化合物1はABAに匹敵する酵素親和性を持った酵素阻害剤であることが明らかになった。一方植物を用いた生物試験で、化合物1はほとんどABA活性を示さなかった。この結果より、化合物1は当初の目的に適った阻害剤であることが確認された。
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Research Products
(2 results)