2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の黄体退行と血管機能:黄体周辺部血流調節の分子機構
Project/Area Number |
05J00685
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
白砂 孔明 岩手大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 黄体 / 黄体退行 / 血流 / 一酸化窒素 / 血管作動性物質 |
Research Abstract |
実験目的:申請者はこれまで、ウシ黄体退行に先立ち必ず黄体周辺部の血流増加現象が起きることを発見し、本現象が黄体退行にとって普遍的な局所現象であることを示してきた。この現象は、黄体退行カスケードの最上位に位置するシグナルである可能性が非常に高い。昨年度の研究成果で、血管弛緩作用をもつ一酸化窒素(NO)が本現象の有力候補であることを示唆したので、本年度はNOの黄体退行への影響を検証した。 実験モデル 1)中期黄体を持つウシに、黄体内へNO供与剤(SNAP)を直接投与した。カラードップラー超音波画像診断装置を用いて黄体内血流変動観察を行い、血液供給について詳細な解析を行った。さらに、リアルタイムバイオプシーを用いて微量の黄体組織を経時的に採取し、mRNA発現をリアルタイムPCRにより解析した。 2)中期黄体を持つウシに、黄体内へNO合成酵素(NOS)阻害剤を直接投与し、その後黄体退行を誘導するためにPGFを筋肉内投与した。カラードップラー超音波画像診断装置を用いて黄体内血流変動観察を行い、血液供給について詳細な解析を行った。 実験結果 1)NO供与剤を黄体内に投与すると黄体周辺部血流域が200%まで急激に増加した。投与後36時間では黄体機能の指標であるプロジェステロン(P)と黄体体積が減少を開始した。対照区と比較し、血中PGFMのピーク状放出の開始がNO供与剤により早まった。また、NO供与剤の黄体内投与により黄体退行仲介因子であるエンドセリン-1 mRNA発現が増加した。 2)対照区ではPGFが黄体周辺部血流域を急激に増加させたが、実験区ではPGF投与前にNOS阻害剤を黄体内に直接投与することで、黄体周辺部血流域増加現象を完全に抑制した。対照区でP濃度がPGF投与1時間後で減少したのに対し、実験区では8時間までP濃度の減少は見られなかった。 以上の結果から、黄体退行カスケード開始シグナルと考えられる黄体周辺部血流域増加現象は、PGF2αで刺激されたNOによる血管弛緩作用で誘導される現象であり、迅速な黄体退行を誘導する役割を担うことが示唆された。
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Research Products
(3 results)