2006 Fiscal Year Annual Research Report
魚類で発見された新規心室性ナトリウム利尿ペプチド:哺乳類でその存在と機能を探る
Project/Area Number |
05J00703
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
川越 暁 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / OlGC8 / オーファン受容体 / クローニング |
Research Abstract |
ナトリウム利尿ペプチド(natriuretic peptide, NP)は、哺乳類において血液量や血圧の調節に重要な役割を果たすホルモンファミリーである。NPは、哺乳類では、大きく分けて心房性NP(atrial NP, ANP)、脳型NP(brain NP, BNP)、C型NP(C-type NP, CNP)の3種類が同定されている。いっぽう、魚類では、それら3種に加えてもう1種類、心室性NP(ventricular NP, VNP)が存在する。また、近年、硬骨魚類のメダカでリガンドが不明なオーファン受容体(OlGC8)が同定されたが、その構造はNP受容体と高い相同性をもっていた。私は、哺乳類に未同定のNPやその受容体が存在するのではないかと考えた。そこで、OlGC8が陸上脊椎動物にも存在するか明らかにするため、ツメガエルの主要組織を用いてRT-PCRをおこなった。その結果、ツメガエルの腎臓からOlGC8 cDNAをクローン化することに成功した。その配列をデータベースで検索したところ、ニワトリ、さらには脊椎動物の祖先であるホヤにもOlGC8遺伝子が存在することがわかった。これらの配列をもとに、新たにOlGC8の縮重PCRプライマーを設計し、ラットの主要組織からOlGC8 cDNAの同定を試みた。しかし、ラットではOlGC8は同定されなかった。データマイニングにより、哺乳類では、OlGC8遺伝子はヒトやイヌで相同な配列が検索されたものの、おそらく偽遺伝子化したものであった。OlGC8遺伝子が哺乳類で機能しなくなった理由はわからない。ただ、OlGC8遺伝子は、脊椎動物が誕生する以前から存在し、魚類や陸上脊椎動物にも広く受け継がれていることから、哺乳類を除く脊椎動物では何らかの重要な役割を担っていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)