2005 Fiscal Year Annual Research Report
魚類で発見された新規心室性ナトリウム利尿ペプチド:哺乳類でその存在と機能を探る
Project/Area Number |
05J00703
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
川越 暁 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / 逆薬理学 / グレリン / オーファン受容体 |
Research Abstract |
ナトリウム利尿ペプチド(NP)は、哺乳類において血液量や血圧の調節に重要な役割を果たすホルモンファミリーである。心室性NP(ventricular NP, VNP)は、魚類より同定されたNPのサブタイプのひとつである。VNPが哺乳類の冠状動脈を顕著に弛緩させることから、VNPが哺乳類に存在する可能性を考えた。現在までに、ヒトをはじめ哺乳類のゲノムやESTなどのデータベースでVNP様遺伝子を検出することはできなかった。しかしながら、VNPが存在していたとしても、その配列が哺乳類で特殊な変異をおこしていた場合、データベースで検出されない可能性は残されている。現在、魚類で同定されたNP受容体を用いて逆薬理学的手法による、VNPを含めた哺乳類の新規NPの探索を検討中である。 VNPの探索と平行し、成長ホルモンの分泌や食欲を増進させるホルモンであるグレリンを、原始的な脊椎動物である軟骨魚類のサメより同定した。サメのグレリンには、これまでに同定されている哺乳類や軟骨魚類のグレリンで保存されていた構造とは異なる配列を含んでいた。それにもかかわらず、サメのグレリンはラットのグレリン受容体を活性化する。この情報は、グレリンの作用に必要な本質的な構造を知るうえで、薬理学的にも重要となる可能性を示す。また、現在、リガンドが不明なオーファン受容体を用いて、逆薬理学的手法(細胞内Caアッセイ、cAMPアッセイ)により、ラットの組織抽出物からリガンドの探索をおこなっている。
|
Research Products
(4 results)