2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00727
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浜本 篤史 早稲田大学, 大学院アジア太平洋研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダム / 非自発的移転 / 生活再建 |
Research Abstract |
まず年度の前半は、昨年度に引き続き、米国においてマイケル・チェルネア教授の下で、彼の指導院生らとともに開発と非自発的住民移転に関する文献を読みながら、開発援助機関における実践について知識を深めた。 米国からの帰国後は、本研究課題における主たる対象である中国を訪れた。南京の河海大学には「国家移民研究センター」という機関があり、開発事業と非自発的住民移転についてのシンクタンク的機能を担っている世界でも珍しい組織であるが、同機関の訪問を通じて在籍研究者と交流するとともに、本研究テーマに関する研究動向の把握につとめた。中国では学術研究と政策実施機関の距離が近いといわれるが、本訪問により、その一端に触れることができた。また、北京では世界銀行の立ち退き問題担当者からもヒアリングを行った。 さらに年度の後半には、前年度の準備を踏まえて、神奈川県内の4ダム(相模・城山・三保・宮が瀬)を中心に5つのダム事例について、研究補助者3名とともに現地調査を計16日間行った。本調査は、調査の深みという点でいえば、いまだ中途段階であるが、前年度の温井ダム調査とあわせて6ダムを比較しながらダム建設後の地域活性化についての全体像を掴んだことで、社会学的調査からの政策への反映を目指したときに時代縦断的、地域横断的な視角を得ることができた。 現時点でまとまった成果を出す階にまで到達していないが、国際開発学会において「ダム事業による住民移転と補償-日本における補償制度整備とその教訓-」と題する報告を行ったほか、日本のダム補償と地域活性化に関する現地調査の結果を中間報告書として整理した。
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