2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00727
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浜本 篤史 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダム / 非自発的移転 / 生活再建 |
Research Abstract |
今年度は全体として、(1)これまで中国で行ってきた調査研究について調査データおよび文献資料の補足と、(2)次年度以降に計画している日本での調査研究の準備、(3)さらには、英語文献における研究動向の把握および社会学の政策科学化の可能性について初歩的検討を進めた。 まず年度の前半は、中国における開発とヒトの移動研究について、いくつかの学会で報告をおこない(地域社会学会、国際開発学会、日中社会学会)、これまで行ってきた研究の到達点と今後の課題を再確認した。また、中国・三峡ダムの住民移転について、広東省および重慶市においてあわせて約2週間の聞き取り調査を実施した。これまでと同一の対象者を訪問し、生活再建についての追跡的なデータを収集するとともに、これまでは調査対象としていなかった重慶市の地域内移転の現場を訪れることによって、住民移転の正負両側面のさまざまな実態について新たな知見を得られた。 日本のダム事例についても、住民の手記や地域行政資料なども含めて幅広く収集した。特に、温井ダム(広島県)において住民、事業者および自治体担当者を対象とした聞き取り調査を、宮が瀬ダム(神奈川県)については予備的調査をおこなうなど、次年度以降、調査研究を展開する下準備とした。 年度の後半は、米国ワシントンDCで在外研究の機会を得ることができた。マイケル・チェルネア教授の下で、開発と非自発的住民移転をめぐる英語文献による研究動向を把握しながら、開発実務機関の実践についての知識を深め、開発研究における社会学の政策的貢献について検討を進めているところである。
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