2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射状拡大/縮小運動知覚の非対称性の初期発達に関する実験心理学的検討
Project/Area Number |
05J00741
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
白井 述 中央大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放射運動 / 乳児 / 非対称性 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
奥行運動知覚の主要な情報源である放射状拡大/縮小運動知覚の初期発達について,ヒト乳児を対象とした心理物理学的,生理心理学的研究を行った.コンピュータースクリーン上に提示したアニメーション刺激を用いて,対象の接近や観察者自身の前進を表現する拡大運動と,観察者から遠ざかる対象や観察者自身の後退運動を表現する縮小運動の間に,生後初期において感度差が生じるか否かを検討した. 中央大学にて継続的に行った心理物理学的研究からは,生後2-3ヶ月の間で放射運動,特に縮小運動に対する運動コヒーレンス感度(ノイズ中から特定の運動方向を検出するために必要な感度)が急激に上昇することが示唆された.この研究成果についてはVision Sciences Society 2005年大会にて発表を行い,またInfant Behavior and Development誌上に原著論文として掲載された. また平成17年10月から平成18年2月にかけてロンドン大学,およびオックスフォード大学の研究チームと行った共同研究では,類似の刺激を観察中の生後3ヶ月前後の乳児,および成人の初期視覚皮質における脳活動を計測した.結果は乳児,成人の両方において,縮小運動提示中の脳活動は拡大運動提示中のそれよりも大きいことを示すものであった.この成果についてはECVP2006年大会にて発表予定であり,また国際学術雑誌に原著論文として投稿予定である. これらの結果はヒトの視覚系が縮小運動に対してより高い感度を持ち,その傾向は比較的生後初期から存在することを示すものである.今後は刺激パラメーターをはじめとする実験の諸条件を操作し,放射状拡大/縮小運動知覚の非対称性の初期発達について更なる実験的検討を行う予定である.
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Research Products
(2 results)