2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代北日本海域における交易システムとエミシの社会構造の考古学的研究
Project/Area Number |
05J00745
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
井出 靖夫 中央大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蝦夷 / 交流 / 交易 / 日本海 / 古代 |
Research Abstract |
本年度は東北地方における土器様相、手工業生産技術の展開およびロシア沿海州の土城の調査、サハリン白主土城の調査を中心として行った。東北地方における調査では、古代における須恵器・鉄生産技術の段階を7世紀から10世紀にかけて検討を行った。9世紀後葉を画期として、手工業生産技術の伝播と交易システムに変容がおきていることが明らかとなった。この成果は平成18年度初頭に論文として公表するため入稿した。また環壕集落における区画施設の意義について、環壕集落遺跡を集成し、東日本における区画の成立について分析を行った。なおこの成果は平成17年度に論文を作成し入稿した。国内の調査ではこのほかに、集落動態の空間的分析を行うために、GISへの地理情報入力を行った。 ロシアウラジオストックにおいて開催された国際シンポジウムに参加し、古代北日本の交易システムについて、および電磁気探査の考古学への応用について報告を行ったほか、ロシア科学アカデミー所蔵の土城出土遺物を実見した。またシャイギン山城ほかウラジオストック周辺の4箇所の土城の踏査を行った。 また野外調査として、津軽福島城跡、サハリン白主土城の調査を行った。津軽福島城跡は、城柵官衙に類する内郭を持つ遺跡であるが、従来10・11世紀に成立していたものとされていた。今年度は方形区画の調査を行い、これが中世段階に構築されたものである可能性が高いことが判明した。また青森県教育委員会の調査では、外郭東門も中世段階に構築されていることが判明した。従来の見解では福島城の外郭に囲まれた部分が、本州北端の交易港としての機能をもっていたことを推測していたが、若干の修正が必要であることが判明した。 サハリンにおける調査では、サハリン島最南端に位置する白主土城の発掘調査を行い、その成果は北アジア遺跡調査報告会において報告を行った。
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Research Products
(4 results)