2006 Fiscal Year Annual Research Report
超音波の音響化学作用を用いたナノダイヤモンド微粒子の開発
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05J00762
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 武吉 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | ナノダイヤモンド微粒子 / 強力超音波 / 音響キャビテーション / 定材波音場 / 活性酸素 / 活性酸素 / ゼータ電位 / 等電位点 |
Research Abstract |
本研究では、超音波照射により発生する音響キャビテーションを利用して、凝集したナノダイヤモンド微粒子の分散性を向上させることを目的とする。ナノダイヤモンド微粒子は、超精密研磨用砥粒や固体潤滑剤として使用することが期待されている。この微粒子の一次粒子径はナノサイズであるが、生成とほぼ同時にマイクロサイズに凝集・安定してしまい、一次粒子径としての存在が困難である。そこで、本研究では超音波の音響キャビテーションにより発生する衝撃波と超音波パワーを利用して、凝集した微粒子の粒子径を減少させ、同時に発生する活性酸素の化学反応により微粒子の表面を改質し分散性を向上させることを検討した。 超音波照射により、凝集して5μmであったナノダイヤモンド微粒子の粒子径を40nmまで減少させた。また、分散性の評価として、分散性の指標であるゼータ電位が20mVから35mVまで向上することを確認した。ゼータ電位の絶対値が大きいほど、水への分散性が高くなる。これは音響キャビテーションにより発生した活性酸素の一種であるOH・が、微粒子の表面に吸着し電位が増加したことが原因であると考えられる。 また、超音波照射条件の最適化及び制御のために、音響キャビテーションを振動子への投入電力ではなく水槽内の音圧で評価したところ、水槽の平均音圧40kPaから活性酸素が発生することがわかった。さらに、水槽の平均音圧を70kPa以上にしたところ、微粒子の平均粒子径が40nmまで減少し、ゼータ電位を35mV以上に向上させることができた。 微粒子の分散安定性を評価するために微粒子の等電位点を測定した。等電位点とは、粒子表面の電位であるゼータ電位が0mVになる溶液のpHの値を言う。分散安定性を向上させるためには、そのpHから遠ざける事が重要である。超音波照射前の微粒子の等電位点はpH2にあるが、照射後はpH1に変化し、分散安定性が向上することがわかった。また、照射後の微粒子の平均粒子径は、溶液がアルカリ性であるほど小さい事がわかった。さらに、微粒子の分散性の長期安定性を評価したところ、150日間以上微粒子の平均粒子径とゼータ電位が変化しなかった。
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Research Products
(3 results)